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原発の再稼働は国益だろうか?再稼働を目指して進んでいる現状を考える


 
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注目高まる安全な原発 日本がトップ独走、次世代型「高温ガス炉」 国が開発推進(26.8.25)


2030年の実用化目指す

 東京電力福島第1原発事故の教訓を受け、過酷事故のリスクが低い次世代の原子炉「高温ガス炉」が脚光を浴びている。放射性物質の放出や炉心溶融などが起きないとされ、2030年の実用化を目指して実験が進んでおり、国は研究開発を積極的に推進していく方針だ。(伊藤壽一郎)


次世代原子炉

自然に停止

 ヘリウムガスを冷却材に使う高温ガス炉は、基本的な仕組みは既存の原発と同じだ。ウラン燃料の核分裂反応で生じた熱でタービンを動かし、電力を生み出す。だが過酷事故の発生リスクは極めて低いという。

 茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の高温ガス炉の試験研究炉「HTTR」。ここで4年前、運転中に炉心冷却装置を停止する実験が行われた。福島第1原発事故と同じ状況だ。原子炉は、いったいどうなったか。

 「何も起こらず自然に停止した。何もしなくても安全だった」。同機構原子力水素・熱利用研究センターの国富一彦センター長はこう話す。

 炉心冷却を停止すると、通常の原発は温度上昇で危険な状態に陥る。しかし、HTTRは停止とほぼ同時に原子炉の出力がゼロになり、温度は一瞬上昇しただけで安定していた。放射能漏れや炉心溶融は、もちろん起きなかった。

炉心溶融せず

 高温ガス炉の安全性が高いのは、燃料の保護方法、炉心の構造材や冷却方式が従来と全く異なるためだ。

 既存の原発では、運転時の炉心温度は約300度。燃料の被覆材や、燃料を収める炉心構造材は耐熱温度が千数百度の金属製で、冷却材には水を使う。福島第1原発事故は冷却手段が失われ、炉心は2千度前後の高温になり溶融して燃料が露出。溶けた金属と冷却水の水蒸気が反応して水素爆発を起こし、放射性物質の飛散に至った。

 これに対しHTTRの炉心温度は950度と高いが、球状(直径0・9ミリ)の燃料は耐熱温度1600度のセラミックスで覆われており、これを2500度の超高温に耐える黒鉛製の炉心構造材に収めている。冷却材のヘリウムガスは化学的に安定で燃焼しない。これが炉心の高い熱エネルギーを運ぶため、高温ガス炉と呼ばれる。

 冷却手段が失われても炉心は理論上、1600度を超えないため、燃料の被覆が熱で壊れて放射能が漏れることはない。黒鉛製の構造材も溶融しない上、放熱効果が高いため自然に熱が逃げて冷える。

 水を使わないため水素爆発や水蒸気爆発の懸念もない。核分裂反応も、冷却停止で炉心温度がわずかに上がると、ウランは分裂しない形で中性子を吸収するため自然に停止するそうだ。

高温ガス炉を循環するヘリウムガスの熱は、水素製造など幅広い用途が期待されている。水を熱分解して水素を作るには通常、約4千度の熱が必要だが、同機構はヨウ素と硫黄を利用し約900度で製造する方法を開発しており、燃料電池用などの水素需要に応えられるという。

 高温ガス炉は既存の原発と比べて発電コストが3分の2、使用済み燃料の量は4分の1で、水を使わないため海岸ではなく内陸にも建設できるなど利点は多い。

 ただ、規模を大きくすると冷却効率が下がるため、発電出力は大型原発の4分の1の30万キロワットにとどまるという課題もある。このためHTTRは1991年に着工、98年に初臨界を達成しながら、長く注目が集まらなかった。

 ところが東日本大震災で「規模より安全」が重視されると一躍、存在感が高まった。政府は4月に策定したエネルギー基本計画で、次世代原子炉として研究開発の推進を明記。文部科学省の作業部会が9月に開発計画を発表する見通しだ。

 世界で稼働している高温ガス炉は現在、HTTRと中国の700度の試験炉だけ。950度での運転を実現した日本は研究のトップを独走している。

 だが中国と米国は試験炉の次の段階である実証炉の建設計画が進行中で、韓国でも950度の実証炉の検討が始まっており、追い上げが激しくなってきた。

 国富氏は「安全技術は既に確立している。海外勢に追い越されないように日本も早く実証炉を作り、2030年ごろの実用化を目指したい」と話している。
---産経新聞(26.8.25)








高温ガス炉の優れた安全特性を実証(2007年)

図7-19 高温ガス炉の優れた安全性


高温ガス炉はセラミックと炭素で4重に被覆した燃料を用い、冷却材には高温においても化学変化がないヘリウムガスを採用し、熱容量の大きい黒鉛で炉心を構成することから、燃料の破損や炉心溶融に至る事故が起きる可能性は極めて低い原子炉ですが、冷却材流量が低下した場合の安全性の実証が残された課題の一つです。


図7-20 原子炉出力100%(30MW)での試験結果


この試験により、冷却材流量が1/3まで低下するような事象が生じても、原子炉は穏やかに安定な状態に落ち着くという優れた安全性が実証されました。

将来のエネルギー源の多様化とエネルギー安定供給、更には地球環境保全の観点から、高温の熱を発電のみならず水素製造,海水淡水化など様々な用途に利用する高温ガス炉技術の開発を、世界のトップランナーとして進めています。高温ガス炉は、セラミックと炭素で4重に被覆した耐久温度の極めて高い燃料を用いるため、核分裂生成物を高温まで有効に閉じ込めることができ、また、炉心を構成する構造物を黒鉛で製作することから、熱容量が大きく、急激な炉心の温度上昇が起こらず、更に、冷却材に用いるヘリウムガスは、温度が上昇しても相変化がなく、構造材と反応して腐食させたりしません。このため、高温ガス炉は、設計用基準地震動を上回る地震に対しても、燃料の大規模破損や炉心溶融に至る事故の起きる可能性が極めて低いという優れた安全性を持っています(図7-19)。950℃以上の高温の熱を発生させる次世代の原子炉システムの一つである高温ガス炉システムの開発では、この優れた安全性を実際の原子炉で実証することが世界的な課題でした。

世界で唯一950℃までの高温の熱を取り出せるHTTRは、次世代高温ガス炉に最も近い原子炉であり、世界の注目を集めながら安全性を実証する試験を行ってきました。安全性の実証の中でも冷却材の流量が低下する事象は、燃料や炉心の健全性維持に対して特に厳しい事象であるため、その試験成果が注目されていました。試験では、熱出力を30%(9MW)から段階的に上昇させながら冷却材流量が低下した場合の原子炉挙動を把握してきましたが、このたび100%の全出力(30MW)において冷却材流量を低下させる試験に世界で初めて成功しました。

試験では、3台のヘリウムガス循環機のうち、2台までを停止させて、冷却材流量を定格値の1/3まで低下させました。冷却材流量の低下により、炉心を冷却する能力が劣化するため、燃料及び黒鉛の温度が上昇します。このとき、原子炉が持つ固有の自己制御性により、核分裂反応が減少して原子炉出力は自然に低下して安定な状態に落ち着きます。これに伴い、原子炉の入口・出口の冷却材温度もわずかに変化しますが、ほぼ一定温度を維持しています。一方、安全解析用コードの改良も進めており、これまでのところ高温ガス炉の炉出力を8%以内という高い精度で予測できることを確認しました。この安全解析用コードによる燃料最高温度の評価では、冷却材流量の低下に伴って温度が急激に上昇することはなく、温度がわずかに上昇した後、流量低下前の温度に戻っています(図7-20)。このように、冷却材流量が低下しても原子炉は穏やかに安定な状態に落ち着くという、高温ガス炉の優れた安全性をHTTRを用いて実証しました。HTTRによる試験結果から、高温ガス炉では、冷却材流量が低下しても原子炉を自動的に緊急停止させる必要はないと考えています。今後、HTTRを用いて、更に厳しい事象である冷却材流量を完全に喪失させる試験を計画しています。本研究は、文部科学省からの受託研究「高温ガス炉固有の安全性の定量的実証」の成果です。
ーーー原子力基礎工学研究(2007年)







次世代原子炉 高温ガス炉  三菱重工


次世代原子炉 高温ガス炉 HTTR







川内原発、審査合格で安全は半数 30キロ圏の自治体アンケート(26.8.2)


 九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が再稼働を前提にした審査に事実上合格したことを受け、同県と原発の半径30キロ圏の9市町に共同通信が2日までにアンケートした結果、「原発の安全性が保証された」との回答はなく「どちらかと言うと保証された」も5市町にとどまった。また再稼働に4市町が「条件付きで賛成」と回答。他は「判断する立場にない」などとし、反対する自治体はなかった。

九州電力の川内原発(手前)=2013年6月、鹿児島県薩摩川内市

 地元経済を後押しするとして再稼働への期待感がある一方、安全対策への懸念が根強い実態が示された。防災面では、対策が追いつかない現状も浮き彫りになった。
ーーー東京新聞(26.8.2)







川内原発再稼働「反対」59% 朝日新聞社世論調査(26.7.28)

朝日新聞社が26、27日に実施した全国世論調査(電話)で、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の運転再開について尋ねたところ、「賛成」は23%で、「反対」の59%が大きく上回った。

 安倍内閣の支持率は42%で、第2次安倍内閣発足以来、最低。不支持率は36%で、こちらも第2次内閣発足来、最高を更新した。

 安倍内閣の支持率は5月は49%だったが、集団的自衛権をめぐる議論が本格化した6月の調査時点でこれまでで最低の43%を記録。7月4、5日の緊急調査では44%だった。不支持率は特定秘密保護法成立後の昨年12月の34%がこれまでの最高で、今年6月、7月上旬の調査ではともに33%だった。

 川内原発については、原子力規制委員会が7月16日に新たな規制基準を満たすと認めており、九電が地元の同意などを得れば、10月にも再稼働が可能になるが、世論は「反対」が多数を占めた。

 調査では、現在停止している原発を再稼働しないと経済に悪い影響が出るかどうかも聞いたところ、「悪い影響が出る」は42%、「そうは思わない」は43%と、意見が割れた。しかし、原発について「技術と管理次第では安全なものにできる」と答えた人は25%にとどまり、「人の手に負えない危険性がある」と回答した人は63%にのぼった。首相の原発政策についても、福島第一原発事故の教訓が「生かされている」は19%で、「生かされていない」の61%が圧倒した。

 コンビニエンスストアやファストフード向けにチキンナゲットをつくっていた中国の食品会社が使用期限の切れた鶏肉を使っていた問題についても質問した。まず、コンビニやファストフードの食品の安全性を普段、気にしているかどうか聞いたところ、「気にしている」は、「大いに」22%と「ある程度」43%を合わせて計65%だった。「気にしていない」は、「あまり」26%と「まったく」6%を合わせて計32%だった。

 今回の事件を受けて、コンビニやファストフードで調理された食品を「買うのを控える」は64%。「それほどでもない」は23%だった。

 有効回答は1590人。回答率は45%だった。
ーーー朝日新聞(26.7.28)








「電源喪失は津波が原因」規制委が中間報告案(26.7.18)


 東京電力福島第一原子力発電所事故で未解明の点を調べている原子力規制委員会の検討会は18日、非常用電源の喪失などについて、「津波で配電盤が浸水したことが原因」などと結論づける中間報告書案を発表した。
 津波の前に地震で壊れた可能性を指摘していた国会の事故調査委員会の見解を否定、津波が原因と判断した。

 ただ、同原発1号機の冷却設備「非常用復水器(IC)」の停止原因については、解明するための資料が不足しているとして結論を持ち越した。国会事故調はICも地震で破損した可能性があると指摘しており、検討会は今後、黒川清・国会事故調委員長らを招いて引き続き審議することにした。

 検討会は、国会、政府の事故調の間で見解が割れた9項目について検証していた。このうち7項目について今回、発表した。規制委の定例会合で了承を得た後、国際原子力機関(IAEA)に報告する。
ーーー読売新聞(26.7.18)








川内原発再稼働「適合」 「厳格審査」に穴(26.7.17)

原子力規制委員会は十六日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、原発の新規制基準を満たしているとする審査結果案を了承した。安倍政権は再稼働への動きを加速させるが、事故対策の一部は未完成で、火山想定などの甘さも指摘されている。事故時に周辺住民が安全に避難できることは最重要の対策だが、審査対象になっていない。世界最高水準どころか「欠落」の多い審査といえる。


住民不在の審査

 新基準について、安倍晋三首相は「世界で最も厳しい」と繰り返してきた。十六日、規制委が新基準による初の合格判断を示したことを受け、田中俊一委員長は「(川内原発の安全性は)ほぼ世界最高レベルと思っている」と強調した。

 だが、川内原発の審査結果案を見ると、本当に世界最高水準の基準による、厳しい審査が行われたのか疑問が多い。

 非常用電源や冷却設備はそれなりに充実され、事故が起きる可能性は下がったかもしれない。しかし、いざ事故が起きたときに事故収束に当たる作業員を守る作業拠点は建設中で、当面は代替の建物を使う。狭くて水道もなく、トイレも仮設だ。作業員が放射能を浴びた場合、シャワーで洗い流して除染するのが通常だが、川内原発ではウエットティッシュで拭く想定になっている。そんな状態にもかかわらず、規制委は妥当と判断した。

 放射性物質の放出を千分の一程度に抑えながら、格納容器内の水蒸気を抜いて圧力を下げるフィルター付きベント(排気)設備や、テロに備えて通常の制御室が使えなくなった場合に原子炉の冷却を続けられる第二制御室も未完成だ。規制委は、これらがない段階でも一定の安全性は保たれると判断した。事故時に原発周辺の住民が安全に避難できることは最も重要な対策の一つだ。米国では、避難計画がきちんと機能することが稼働の条件とされるが、規制委は避難基準などの指針は定めたものの、各自治体がつくる避難計画が妥当かどうかは「権限外」として審査していない。
ーーー東京新聞(26.7.17)






川内再稼働へ準備本格化、申請17基も動き加速(26.7.17)


原子力規制委員会は16日、九州電力川内せんだい原子力発電所1、2号機(鹿児島県)の安全対策が新規制基準に適合しているとする事実上の合格証「審査書案」を了承した。

 現在、国内の全原発が運転を停止しており、新規制基準下で第1号となる今秋の再稼働に向けた準備が、同原発で本格化する。安全審査を申請中の残る11原発17基についても、再稼働の動きが加速する。


川内原発再稼働までの流れ

 規制委の田中俊一委員長は審査書案を了承した定例会合後の記者会見で、「時間がかかったが、一つの山を越えた。(審査の)独立性、透明性、中立性を貫き通せたと思う」と述べた。

 審査書案によると、九電は地震の揺れの最大想定となる加速度を620ガルに引き上げたうえ、沖縄沖合で東日本大震災級の巨大地震の発生を想定するなどして、安全対策の全面的な見直しを行った。また交流電源がすべて失われるなどの重大事故も想定し、水素爆発を防ぐ除去装置を設置するなどの対策を講じた。

 審査書案の了承を受け、川内原発が立地する薩摩川内市と鹿児島県は、万一の重大事故に備え、同市民に甲状腺被曝ひばくを防ぐ安定ヨウ素剤の配布を7月中に始める方針だ。
---読売新聞(26.7.17)






川内原発:田中規制委員長「安全だとは私は言わない」(26.7.17)


原子力規制委員会は16日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、「新規制基準に適合している」とする審査書案を定例会で了承した。今後、30日間の意見公募などを経て審査書を決定する。川内1、2号機は、東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、安全対策を強化した新規制基準をクリアする初の原発となる。地元同意手続きや設備の使用前検査なども必要となるため、再稼働は10月以降になる見通しだ。


九州電力川内原発1、2号機の審査書案について説明する原子力規制委員会の田中俊一委員長=東京都港区で2014年7月16日午後0時58分、喜屋武真之介撮影

 ただ、規制委は「基準に適合しているかどうかを審査するだけで、稼働させるかどうかには関与しない」との姿勢を崩さず、政府も「稼働させる政治判断はしない」との立場だ。実質的に再稼働の判断は電力会社と立地自治体に委ねられ、国策でもある原発が、国の責任があいまいなまま稼働する可能性もある。

 現在、川内1、2号機を含め、12原発19基が規制委の安全審査を受けている。事実上の「合格」第1号が出たことについて、田中俊一委員長は「基準への適合は審査したが、安全だとは私は言わない。これがゴールではないので、(九電は)努力していく必要がある」と述べた。

 審査書案は約420ページ。九電が示した地震や津波の想定、事故対策などを個別に検討した。九電が想定する地震の最大の揺れ「基準地震動」を従来の540ガル(ガルは加速度の単位)から620ガルに、想定する最大の津波の高さ「基準津波」を約4メートルから約6メートルに引き上げたことを、いずれも妥当とした。

 また、九電が周辺14火山の過去の噴火間隔やマグマだまりの膨張傾向などから「安全性へ影響する可能性は小さい」と判断したことを受け入れた。ただし、規制委は継続的な火山の監視を求めた。

 また、福島第1原発で起きた炉心損傷や全電源喪失などの過酷事故への対応は、幅広い事故の想定▽事故時の作業要員の確保方法▽機能喪失を防ぐ設備の準備▽対応手順−−などを求め、九電が示した対応策をいずれも了承した。航空機が施設に落下した場合やテロ対策についても対応の手順書や体制、設備の整備方針を認めた。

 九電は昨年7月に川内1、2号機の安全審査を申請した。当初は基準地震動を原発事故前のままとするなど、安全対策に消極的な姿勢も見られたが、いち早く基準地震動の引き上げに応じたため、3月から優先的に審査が進められた。
審査書案は今後のモデルケースとなるため、他原発の審査が加速するとみられる。川内1、2号機に続き、基準地震動が決まった関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の審査が先行している。【鳥井真平)
---毎日新聞(26.7.17)







原発再稼働「国民全体の願い」 経団連会長(26.7.8)

経団連の榊原定征会長は8日、原発の再稼働について、「安全が確認された原発は、速やかに再稼働すべきだ。国民全体の願いでもある」と述べた。東日本大震災の被災地で、東北電力女川原発(宮城県)の防潮堤工事などを視察した後、報道陣に語った。

 榊原会長は「老朽化した火力発電所を無理に稼働させている今は綱渡り状態。電気料金は家庭用、産業用とも上昇しており、経済成長の大きな足かせになる」と語り、原子力規制委員会による審査を経たうえで、早期の再稼働が必要との考えを改めて強調した。

 経団連は、原子力規制委員会による審査の作業を早めるよう求める提言を日本商工会議所と経済同友会と共同発表するなど、繰り返し原発の早期再稼働を訴えている。
ーーー朝日新聞(26.7.8)






川内原発、16日に「合格」…秋にも再稼働か(26.7.7)

 原子力規制委員会は7日、原子力発電所の再稼働の前提となる安全審査で、九州電力川内せんだい原発1、2号機(鹿児島県)の事実上の合格証となる審査書案を16日に示す方針を決めた。

 当初9日を目指していたが、書類をまとめる作業に時間がかかり、1週間延期する。

 原発の安全性強化を義務づけた新規制基準が施行されてから8日でまる1年となるが、審査書案までこぎ着ける見通しがたったのは川内原発が初めて。残る審査や地元同意などの手続きが順調に進めば、川内原発は秋にも再稼働できるとみられる。

 昨年7月8日に施行された新基準は、東京電力福島第一原発の事故を教訓に、重大事故対策を電力会社に義務づけ、地震・津波など自然災害の対策強化も求めた。規制委は、これまで申請があった全国12原発19基について基準を満たしているか審査している。
ーーー読売新聞(2014年07月07日 22時24分)






膨らむ原発安全対策費、1年前の1・5倍に 原発新基準施行1年(26.7.7)

新規制基準の施行から1年が経過し、原子力発電所を持たない沖縄電力を除く電力各社が原発の安全対策に投じる費用は、日本原子力発電を含む10社合計で約2兆2000億円に達した。地震や津波から原発を守る安全対策工事の強化を原子力規制委員会に求められ、1年前から約1・5倍に増加した。原発停止が長期化すれば安全対策費用はさらに膨らむ見通しだ。

 施行時の昨年7月時点で10社の安全対策費用は総額約1兆5000億円だった。だが、九州電力は今年4月、規制委が優先審査の対象とした川内原発1、2号機(鹿児島県)の海水ポンプを津波から守る防護壁の建設などのため、安全対策費用を1000億円上積みした。

 柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が審査中の東京電力も、事故時に放射性物質の流出を抑えるフィルター付き排気(ベント)設備の設置や火災対策の強化などを求められ、3200億円としてきた費用を4700億円に増額した。

 今年2月に浜岡原発4号機(静岡県)の審査を申請した中部電力も防護壁の建設や配管の補強工事などを進めた結果、安全費用は3000億円となり、昨年7月時点から倍増した。

 ある電力会社の首脳は安全投資について「再稼働すれば費用は回収できる。投資は惜しまない」と言い切る。ただ、火力燃料の増大で電力各社の経営は悪化し、東電をはじめ7社が電気料金の抜本値上げに踏み切った。北海道電力は再値上げの検討を表明している。再稼働が進まない限り、短期的な業績悪化は避けられない。
東電柏崎刈羽原発は、福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)だが、審査は川内1、2号機と同じ加圧水型軽水炉(PWR)が優先される見通しだ。再稼働は大幅に遅れる恐れがある。(宇野貴文)
ーーー産経新聞(26.7.7)







原発安全対策2兆円超=新基準対応で膨らむ-電力10社(26.7.5)


原発の再稼働に向けて電力会社10社が安全対策工事を既に実施したり、計画したりしている費用の総額が2兆2000億円に上ることが、5日分かった。昨年7月に施行された原発の新規制基準への対応などが中心で、1年前に比べて約1.5倍に増加した。今後追加の工事を予定する会社もあり、総額はさらに膨らみそうだ。
 10社の内訳は原発を持たない沖縄電力を除く電力9社と日本原子力発電で、東京電力以外は東日本大震災後の費用の総額を集計した。
 再稼働の是非を判断する新規制基準では、大規模な地震や津波に対応できる設備のほか、原発事故時に司令塔となる免震重要棟の設置など多くの対策が求められる。電力会社は実際の安全審査で、原子力規制委員会から地震や津波の想定を厳しめに見直すよう要求されることもあり、工事費用は各社の当初見積もりから大きく膨らんでいる。
---時事ドットコム(2014/07/05-20:36)






原発のコスト「火力発電上回る」試算(26.6.29)


 原子力発電のコストについて、来年、原発が再稼働し、運転開始から40年過ぎたら廃止すると想定した場合、東京電力福島第一原子力発電所の事故対策の費用を踏まえると、1キロワットアワー当たりのコストは、3年前に政府の委員会が試算した液化天然ガスや石炭による火力発電のコストを上回るとする新たな試算を専門家がまとめました。

試算は、東京電力の経営や賠償に詳しい立命館大学の大島堅一教授と大阪市立大学の除本理史教授がまとめました。
それによりますと、福島第一原発の事故対策の費用は、東京電力や国が公表した資料を分析すると、住民などへの賠償のほか、除染や中間貯蔵施設の整備、それに、廃炉などで、少なくとも合わせて11兆円余りに上るとしています。そのうえで、▽福島第一原発と、すでに廃炉が決まっている原発を除く、43基すべてが来年、再稼働して、▽国が定めた原則に合わせて運転開始から40年を過ぎたら廃止すると想定した場合、事故対策の費用を踏まえた原子力発電のコストは1キロワットアワー当たり11.4円と試算しています。3年前に発電コストを検証する政府の委員会が行った試算では、液化天然ガスや石炭による火力発電のコストを1キロワットアワー当たり10円前後としていて、今回、専門家がまとめた原子力発電のコストの試算は、これを上回っています。
試算を行った立命館大学の大島教授は「国としても、改めて原発の経済性について試算をまとめたうえで、将来的にそれぞれのエネルギーをどの程度使うのが最適か議論すべきだ」と話しています。
ーーーNHK(26.6.29)


 専門家の電力コスト比較 
原発のコスト 11.4円・kwh
火力発電コスト 10円前後・kwh
専門家の試算まとめ;原発コストは火力発電コストを1.4円・kwh上回る。




原発コストは火力より割高に 専門家が試算、発表へ(26.6.27)

運転を止めている全国の原子力発電所が2015年に再稼働し、稼働40年で廃炉にする場合、原発の発電コストは11・4円(1キロワット時あたり)となり、10円台の火力発電より割高となることが、専門家の分析でわかった。東京電力福島第一原発の事故対策費が膨らんでいるためだ。政府は原発を再稼働する方針だが、「コストが安い」という理屈は崩れつつある。


各電源の発電コスト

電力会社の経営分析で著名な立命館大学の大島堅一教授と、賠償や除染の調査で知られる大阪市立大学の除本理史(よけもとまさふみ)教授が分析した。近く専門誌に発表する。
両教授が、政府や東電などの最新資料を分析したところ、福島第一原発の事故対策費は約11兆1千億円に達した。政府が昨年12月に示した「11兆円超」という見積もりを裏付けた。
---朝日新聞(26.6.27)








エネルギー基本計画に対する意見にみる原発への賛否;
「脱原発」意見、9割超 エネ計画のパブリックコメント(26.5.24)

 安倍内閣が4月に閣議決定したエネルギー基本計画をつくる際、国民に意見を募った「パブリックコメント」で、脱原発を求める意見が9割を超えていた可能性があることがわかった。朝日新聞が経済産業省に情報公開を求め、開示された分について原発への賛否を集計した。経産省は、そうした意見をほとんど反映しないまま、基本計画で原発を「重要なベースロード電源」と位置づけた。

 経産省が昨年12月6日に示した基本計画の原案に対し、対象の1カ月間にメールやファクスなどで約1万9千件の意見が集まった。経産省は2月に代表的な意見を発表したが、原発への賛否は集計しなかった。

 朝日新聞はすべての意見の公開を求め、経産省は、個人情報保護のために名前を消す作業が終わった2109件分のメール(2301ページ)を開示した。受け付け順で開示したとしており、残りの開示の可否は9月までに決めるという。
---朝日新聞(26.6.24)








原発ゼロ「難しくない」=政策大綱発表、エネ計画批判-市民団体(26.4.12)

政府に政策提言を行う市民団体「原子力市民委員会」(座長・舩橋晴俊法政大教授)が12日、脱原発を実現するための政策大綱を発表した。原発ゼロ社会について「実現は難しくない」と強調。政府が目指す原発再稼働についても「認めるべきではない」と訴えている。
 東京都内で記者会見した舩橋教授は、政府が原発再稼働を明記したエネルギー基本計画を閣議決定したことに、「後ろ向きのものしか政府は出さない。国民からかけ離れている」と述べた。メンバーの吉岡斉九州大大学院教授も「なぜ原発を続けるのか。無責任なレトリックでごまかそうとしており、とんでもないことだ」と批判した。
 政策大綱では、東京電力福島第1原発事故で原発の安定供給性や経済性などが否定されたと指摘。今後の日本社会では、エネルギー消費の自然減や省エネが進むとして、「脱原発は困難ではない」と結論付けている。
---時事ドットコム(2014/04/12-14:41)








もう福島を忘れたか エネ基本計画(26.4.12)

国は私たちのことを、もう忘れたのか-。原発推進を明示したエネルギー基本計画が閣議決定された十一日、東京電力福島第一原発事故で福島県大熊町から住民が避難している会津若松市の仮設住宅では、怒りの声が上がった。被ばくと闘いながら、事故収束に汗する作業員からも、あきれと嘆きが入り交じった声が聞かれた。(大野孝志、片山夏子)


エネルギー基本計画のニュースを仮設住宅で見て「私たちのことを忘れたのか」と嘆く門馬五子さん=11日、福島県会津若松市で

 大熊町はいまだ大半が帰還困難区域に指定されている。避難先の一つ、西に百キロ離れた会津若松市の松長近隣公園仮設住宅ではこの日、北風が強く吹き付け、鈍色の空からみぞれが落ちた。

 二百四十戸あるうち、半数の世帯は窮屈な暮らしを嫌がり家を買ったり、借りたりして去った。昼間でも人の姿はまばらだ。無職村井光さん(64)の隣人もこの日、同市内に家を買って移った。閣議決定のニュースをテレビで見た村井さんは、ますます取り残されたと感じた。「国は福島のことを忘れてんだ」

 故郷の放射線量は高い。一方で、東電の賠償は済んでおらず、今月から復興住宅の申し込みが始まったものの抽選だ。運良く当選しても、入居は早くて年末。暮らしの先行きが見えてこない。「こういう福島の現状を、国が再確認してから、原発をどうするのかを判断してほしかった」

 同じ仮設住宅の門馬五子(もんまいつこ)さん(71)も将来を見通せない。普段は笑顔を絶やさないが、夜、眠れない。「一人になると、いろいろ考えちゃって…。情けないよ。国の偉い人たちは、こんな状態になった住民の声を聞いてもいいのにね」と深くため息をついた。

 住民のまとめ役の農業木幡(こわた)仁さん(63)は「事故が収束していないうちに、なんで原発を活用するなんて言えるんだ。反省を忘れている。とんでもない話だ」と怒りをあらわにした。

 作業員からも政府の決定に疑問の声が上がった。

 技術者として長年、福島の原発に関わってきた名嘉(なか)幸照さん(72)は出張先の沖縄で計画決定を知った。「福島ではいまだ大勢の人が故郷に戻れないのに、政府は事故前と同じ(原発推進)政策を堂々と推し進めていく…。もう何と言ったらいいのかわからない」と嘆いた。

 新しい規制基準を満たしても重大事故が起きる可能性は残ると指摘した上で、「福島の復興より、原子力ムラの再生の方が随分早かった」と話した。

 強風の中、福島第一で事故収束作業に追われた男性はネットで知り、「(政府が)事故を反省しているとは感じられない。政策がなぜこんなにころころ変わるのか」。

 地元のベテラン作業員は「事故の風化だ。事故の反省をしないまま、突き進んでいる」と話す。被ばく線量限度(五年間で一〇〇ミリシーベルト)に近づき、作業を続けられるのか不安もある。

 計画を読んだが、事故の責任はあいまいで、原発依存度を減らす姿勢もまったく感じない。「福島で収束作業が続き、大勢の人が避難しているのも忘れられている。怒りというかあきれるというか、もう笑うしかない」と憤った。
---東京新聞(26.4.12)






原発再稼働「反対」59% 朝日新聞世論調査(26.3.18)


朝日新聞社が15、16日に実施した全国世論調査(電話)で、原子力発電所の運転再開の賛否を尋ねたところ、「賛成」は28%で、「反対」の59%が上回った。安倍政権のもと、今夏にも九州電力川内原発(鹿児島県)が再稼働することが有力視されているが、原発の再稼働反対派が多数を占めた。

 昨年7月、9月、今年1月の調査でも同じ質問をしており、「反対」はいずれも56%だった。今回の調査では、男性は「賛成」が39%、「反対」が51%だったのに対し、女性は18%対66%と「反対」が圧倒的だった。

 原発を段階的に減らし、将来は、やめる「脱原発」については、「賛成」が77%で、「反対」の14%を引き離した。
ーーー朝日新聞(26.3.18)







「事故に学ぶ姿勢足りず」=新規制は「ハード偏重」-班目氏〔東日本大震災3年〕(26.3.2)


 東京電力福島第1原発事故から3年を迎えるのを前に、原発の安全規制を担う原子力安全委員会(廃止)のトップとして対応に当たった班目春樹元委員長が時事通信のインタビューに応じた。班目氏は緊急時の情報伝達に大きな問題があったと振り返り、後を継いだ原子力規制委員会が進める安全規制について「ハードウエア偏重で、事故に学ぶ姿勢が足りない」と懸念を示した。


インタビューに答える班目春樹元原子力安全委員長

 -事故対応の問題点は。
 指揮命令系統がマニュアル通りに動かない中、それぞれが自分の役目を認識できず右往左往してしまった。非常時は臨機応変にやらざるを得ないが、そのことが伝達できていなかった。緊急時の情報のやりとりの仕方も徹底的に反省し、訓練を積み重ねないと駄目だ。
 -当時、最悪の事態をどこまで想定したか。
 (2011年)3月11日深夜から翌朝にかけ、楽観と悲観の両極端に振れていた。ある時はもう現場は逃げ出しているのではないか、チェルノブイリ(旧ソ連の原発事故)のように空から砂でも水でもまくしかないと考えた。
 -転機になったのは。
 4号機の水素爆発(3月15日)まで、ずるずると行ってしまった。(政府と東電の)対策統合本部ができたのがポイント。あれがなければ、東電と首相官邸の連絡の悪さはそのままだった。情報の集まる所で判断するのが正しい姿だ。
 -今後は規制委が判断する。
 その訓練をしているかというと、していない。ハードウエアの議論ばかりだ。規制委が大きな権限を持ったのだから、あり得ないようなシナリオの中で上がってくる情報を委員長がどう判断するか、訓練を積まないといけない。
 -規制委は事故の反省を生かしているか。
 規制委は私を呼んで話を聞かなくていいのか。当時のコミュニケーションがどうだったかなど、一番大切なことなのにやっていない。あれだけの事故があっても何も学ばないなら(規制を)やる資格がない。
 -再稼働の動きが進む。
 私も本当にいいのか悩んでいる。やるならば、安全とは何かを一からきちんと考えて、国際的にも胸を張って言えるようにしないと。規制委が言う「世界一厳しい基準」は設備だけ。安全かどうかの評価能力が必要だ。
 -安全性は高まったか。
 いろいろなことを想定するようになったという面では、1000倍くらい高まったとは思う。だが、もっと安全にしていく駆動力(姿勢)みたいなものは相変わらずだ。
 -福島の廃炉作業は。
 溶融燃料取り出しは30年でも無理。(作業員の)被ばくを考えたらやめた方がいい。形状もめちゃくちゃだし、高レベル廃棄物よりも危険。それを言うと進まなくなるから、長期計画は曖昧にして30年後とかにしている。
 -汚染水問題も進まない。
 トリチウムは希釈して流すしかないと思うが、規制委がもっと先頭に立たないといけない。放出限度を決めているのは規制委だから、説明責任がある。
 -原子力に対する自身の見方は変わったか。
 事故からもっと学ばないといけないと考えている。学ばないまま忘れてしまっていいのかと。いま原発を動かしても、あしたすぐ事故になるとは思わないが、学ばないのはひど過ぎる。

インタビューに答える班目春樹元原子力安全委員長

◇班目春樹氏略歴
 班目 春樹氏(まだらめ・はるき)東京大大学院から東芝総合研究所を経て、75年に東大講師(原子力工学)、90年同教授。01年から経済産業省総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会で委員などを歴任。07年の新潟県中越沖地震では、被災した東京電力柏崎刈羽原発の調査・対策委員長を務めた。10年4月に東大を退職し、原子力安全委員会の委員長に就任。12年9月の廃止まで務めた。

---時事ドットコム(2014/03/02-16:08)







再稼働容認2割 原発30キロ圏 同意不要に不満(26.3.2)


全国の原発の半径三十キロ圏にある百五十六自治体のうち、原子力規制委員会が審査を終えれば原発の再稼働を「容認する」と答えたのは、条件付きを含めても約二割の三十七自治体にとどまることが一日、共同通信社のアンケートで分かった。「判断できない」との回答も約四割の六十六自治体に上っており、再稼働に向けた手続きは難航しそうだ。


再稼働に対する近隣アンケート

 半径三十キロ圏内の自治体の内訳は二十一道府県と百三十五市町村で、原発事故を想定した対策を求められている。事故時の住民避難を尋ねたところ「どちらかといえば難しい」も含め、半数近い七十二自治体が困難とし、避難準備が整わない実態も明らかになった。再稼働の判断は規制委が審査中の原発の周辺自治体に絞っても、同様の結果だった。

 政府は規制委の審査を「お墨付き」にして再稼働を進める方針だ。しかし安全性への不安が強いことに加え政府が自治体や住民への説明方法、将来的な原発の位置付けを曖昧にしていることから、自治体の慎重姿勢が目立つ結果となった。

 「容認」は十三自治体、「条件付き容認」は二十四自治体に対し、「容認しない」は三十二自治体だった。

 東京電力福島第一原発事故後、政府は原子力災害対策の重点区域を、従来の半径十キロ圏からおおむね三十キロ圏に拡大し、対象は十五道府県と四十五市町村から大幅に増加した。再稼働の同意を得る必要がある「地元」の範囲を聞いたところ、「立地自治体のみ」が三十自治体だったのに対し、「三十キロ圏の全自治体」を求める回答が五十八自治体に上った。

 国と電力会社、立地自治体だけで再稼働を決める従来の手法への不満が強いことをうかがわせた。

 全電源に占める原発の比率は「段階的に減らし将来ゼロ」を求める答えが七十八自治体と半数に上った。「即時ゼロ」も三自治体で、「一定比率を維持」(二十五自治体)など政府方針と同様に原発活用に前向きな自治体よりも「原発ゼロ」を求める自治体が多かった。

 原発別では、規制委の審査が先行する九州電力川内原発(鹿児島県)などでは再稼働を、条件付きを含めると「容認する」が「しない」を上回った。福島県の自治体や、浜岡原発(静岡県)では「容認しない」が多かった。アンケートは二月中旬から下旬にかけて実施。自治体名を公表しない前提で、百五十六全ての自治体から回答を得た。

◆処分場「応じる」ゼロ

 原発の自治体アンケートでは、政府が高レベル放射性廃棄物の最終処分場受け入れを申し入れた場合、約四割の六十一自治体が「応じない」と回答し「応じる」はゼロだった。政府は国主導で候補地を絞り込む方針だが、自治体の拒否感は強く、選定は難航しそうだ。

 政府は昨年、自治体が応募する従来の方式の見直しを始めた。ただ新方式は詳細が不透明で、四十二自治体が「無回答」など明確な回答を避けた。
---東京新聞(26.3.2)








原発の再稼働容認は2割 30キロ圏156自治体(26.3.1)


全国の原発の半径30キロ圏にある156自治体のうち、原子力規制委員会が審査を終えれば原発の再稼働を「容認する」と答えたのは、条件付きを含めても約2割の37自治体にとどまることが1日、共同通信社のアンケートで分かった。「判断できない」との回答も約4割の66自治体に上っており、再稼働に向けた手続きは難航しそうだ。

 半径30キロ圏内の自治体の内訳は21道府県と135市町村で、原発事故を想定した対策を求められている。事故時の住民避難を尋ねたところ「どちらかといえば難しい」も含め、半数近い72自治体が困難とし、避難への準備が整わない実態も明らかになった。

(共同)ーーー東京新聞(26.3.1)






原発「重要」明記を評価…立地の自治体首長ら(26.2.26)


政府が中長期的なエネルギー政策の指針となる新たな「エネルギー基本計画」を公表した25日、原子力発電所が立地する福井県内の各自治体からは、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけたことに対する評価の声が上がった。

 西川一誠知事は「原子力の重要性について責任を持って政府が示したもの」と歓迎。核燃料サイクル政策や、敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」の位置づけも「安全性を確保し、引き続き取り組む姿勢が見られる」とした。

 全国原子力発電所所在市町村協議会の会長を務める同市の河瀬一治市長も「『原子力は当面必要』という私たちの意向が入っている。将来に責任を持ったエネルギー政策を実現する意欲も感じられる」と述べた。

 関西電力大飯原発を抱えるおおい町の時岡忍町長は「心強く感じ、歓迎する。原子力行政の懸案に責任を持って取り組んでほしい」、関電高浜原発のある高浜町の野瀬豊町長も「原発を活用する基本姿勢が維持されており、評価する」とのコメントをそれぞれ発表した。

 計画には今回、建て替えと新増設は明記されなかった。3基中2基が稼働開始から40年を超える関電美浜原発の地元、美浜町の山口治太郎町長は「原発がどれだけ稼働するか分からず、示しにくいだろう」と理解しつつも、「国に今まで明記を要望してきたので非常に残念」と声を落とした。
ーーー(2014年2月26日19時05分  読売新聞)







原発「再稼働を進める」と明記 エネルギー計画政府案が判明(26.2.25)


新たなエネルギー基本計画の政府案が24日、明らかになった。原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、安全性が確認された原発は「再稼働を進める」と明記した。再生可能エネルギーへの取り組みを強化する姿勢を強調し、福島を再生エネルギーの産業拠点にする計画を盛り込んだ。

 25日に関係閣僚会議を開き、決定する。与党との協議を経て3月中の閣議決定を目指す。

 東京都知事選で原発政策が争点化し、昨年末にまとまった当初案に対して原発推進のトーンが強すぎると与党内で批判が噴出、修正に追い込まれる異例の事態となった。
ーーー共同通信(25.2.25)






原発「将来ゼロ」6割=半数は舛添氏に-都知事選・出口調査(26.2.9)


9日投開票の東京都知事選で時事通信が実施した出口調査によると、今後の原発政策について、「原発を将来ゼロにする」と答えた人が57%で最も多く、「即時ゼロにする」は27%、「ゼロにはしない」は16%だった。



 投票先を見ると、「将来ゼロ」層の50%は、中長期的な原発依存脱却を打ち出した舛添要一氏を選んだ。「即時ゼロ」層は、原発再稼働反対を掲げた宇都宮健児、細川護熙両氏に二分され、宇都宮氏35%、細川氏44%だった。
 「ゼロにはしない」層は、舛添氏が51%で最多。原発の積極活用を訴えた田母神俊雄氏は33%だった。 
 出口調査は、都内50投票所で実施。投票を終えた男性2283人、女性1740人の計4023人から回答を得た。
---時事ドットコム(2014/02/09)







「脱原発」に一定の支持=電力業界、再稼働への影響注視-都知事選(26.2.9)


東京都知事選で「即時原発ゼロ」を公約に掲げた宇都宮健児前日弁連会長と細川護熙元首相は、舛添要一元厚生労働相に敗れたものの、一定の支持を集めた。都民の間で、原発依存への否定的な意見が根強いことが示された格好だ。脱原発を求める世論が一段と高まれば、原発再稼働にも影響が出る可能性があり、電力業界は動向を注視している。 
 安倍政権は、原発停止の長期化で火力発電用の化石燃料の輸入が膨らんでいることを懸念。首相は1月28日の衆院本会議で「簡単に『原発はもうやめる』と言うわけにはいかない」と強調し、安全性が確認された原発の活用を続ける方針を示している。
 東京電力など電力7社は計9原発16基について原子力規制委員会に安全審査を申請。中部電力も浜岡原発4号機(静岡県)の審査を14日にも申請する。早ければ春ごろにも審査に合格する原発が出る見通しだ。
 しかし、再稼働させる際には地元自治体の理解が必要となる。東電の柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働には、泉田裕彦県知事が反対している。東電関係者は「即時原発ゼロを主張する候補がある程度支持されており、地元との調整に影響が出かねない」とみている。
 今月23日に投開票される山口県知事選では、中国電力による上関原発新設計画の是非が争点の一つとなる。都知事選と同様、原発反対派の候補がどの程度の支持を集めるか注目される。
ーーー時事ドットコム(2014/02/09)








日本、将来の脱原発可能 再生エネ拡大をとEU委員(26.2.3)


【ミュンヘン共同】欧州連合(EU)のエネルギー政策を統括するエッティンガー欧州委員は1日、共同通信と会見、日本の将来的な脱原発は可能との認識を示すとともに、再生可能エネルギーの普及を図るべきだとし、早急にエネルギー基本計画を策定する必要があると述べた。


記者の質問に答えるエッティンガー欧州委員=1日、ミュンヘン(共同)


記者の質問に答えるエッティンガー欧州委員=1日、ミュンヘン(共同)

 また、原発の高レベル放射性廃棄物の量を減らすなど、最終処分をめぐる技術協力を日本と進めたいとも表明した。ドイツ南部ミュンヘンでの安全保障国際会議に出席中に会見に応じた。

 ドイツ出身のエッティンガー氏は、脱原発を目指すかどうかは日本政府次第だとした上で「問題はどれだけ時間がかかるかだ」と指摘した。

ーーー共同通信(2014/02/03 )


 



原発、早期に再稼働を=「国益にかなう」-次期経団連会長(26.1.30)


経団連次期会長に内定した榊原定征東レ会長は30日、東京都内で記者会見し、再稼働に向け原子力規制委員会に安全審査が申請されている国内の原発16基について「安全確認をしっかりした上で、可及的速やかに稼働してもらうことが日本の国益にかなう」と述べ、早期稼働に期待を示した。


記者会見する、次期経団連会長が内定している榊原定征東レ会長=30日午後、東京都中央区の同社本社


 榊原氏は、全原発が操業を停止している現状に関し「老朽化した火力発電所に頼るつま先立った電力供給で、決して安定的とは言えない」と指摘。その上で「原発は、安定供給の義務とコスト低減という点で、国策として保持することが非常に重要だ」と強調した。
---時事ドットコム(2014/01/30)






原発再稼働反対が60% 共同通信世論調査(26.1.26)


共同通信社が25、26両日に実施した全国電話世論調査によると、原発の再稼働に反対するとの回答は60・2%に上り、賛成の31・6%のほぼ倍だった。安倍晋三首相は原子力規制委員会の安全性確認を前提に、再稼働を進める構えだが、否定的な意見が根強い現状が鮮明となったことで難しい判断を迫られそうだ。安倍政権の経済政策「アベノミクス」で景気が良くなったと実感している人は24・5%で実感していないは73・0%だった。

 憲法解釈の見直しによる集団的自衛権の行使容認に反対すると答えたのは53・8%を占め、賛成の37・1%を上回った。(共同)
---東京新聞(26.1.26)






高レベル廃棄物対策の切り札 放射能減らす「核変換」本格研究へ(26.1.20)


原発の使用済み核燃料に含まれる放射性物質に中性子をぶつけて、毒性が低い物質に変える「核変換」の研究が来年度から本格的に始まる。実用化までの道のりは30年以上と長いが、高レベル放射性廃棄物を減らす切り札として期待は大きい。

                 

「現代の錬金術」

 安倍政権は原発を「重要なベース電源」と位置付け、今後も活用していく方針を打ち出している。その最大の課題は昨年3月末時点で1万7千トンに達した使用済み核燃料の処分だ。

 使用済み燃料を再処理してウランやプルトニウムを回収した後に残る高レベル放射性廃棄物は、ネプツニウム237(半減期214万年)やアメリシウム243(同7370年)など、半減期が長く毒性が高い複数の元素が含まれている。これらはガラス固化体に加工して冷却後、人体への影響が低くなるまで数万年間、地下深くに貯蔵する地層処分となるが、最終処分場はまだ決まっていない。このため量を減らす方法の開発が急務になっている。

 放射能を持つ元素の原子核は、放射線を出しながら時間とともに崩壊し、自然に別の元素に変わる。核変換はこれを人工的に加速させる技術で、原子核に中性子をぶつけて核分裂を起こさせ、半減期が短く毒性が低い物質に変えていく。いわば「現代の錬金術」だ。

もんじゅ停止契機

 この研究は当初、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が担うはずだった。核変換に必要な高速の中性子が運転時に発生するからで、長寿命の放射性元素を燃料に混ぜ、短寿命化する研究が検討されてきた。

 しかし、トラブル続きのもんじゅは運転実績がほとんどない上、機器の点検漏れなどで原子力規制委員会から無期限の運転停止を命じられている。再稼働すれば研究も進められるが、先行きは全く見えない。

 このため文部科学省の作業部会は昨年11月、原子力機構などの加速器施設「J-PARC」(茨城県東海村)に、加速器を使った核変換の実験施設を建設すべきだとする報告書をまとめた。

 総工費220億円で2015年度に着工、20年にも実験を開始する。基礎データを蓄積した後、30年ごろから実用化に向けた新施設を建設し、50年ごろから核変換を行う見通しという。

 核変換の仕組みはこうだ。長寿命の放射性元素を容器に入れて、中心部に鉛とビスマスからなる重金属の核破砕ターゲットを配置。ここに超電導加速器で光速の約90%に加速した陽子をぶつける。

 重金属から高速の中性子が飛び散るように発生し、放射性元素の原子核に衝突。核分裂が始まり、電子を放出しながら核種が変わるベータ崩壊を繰り返し、短寿命で毒性が低い物質に変わっていく。

 陽子は2年間当て続ける計画で、放射性元素は大半が短寿命化。理想的な反応が起きた部分は、放射能がない物質に変わる。

 研究を担当する同機構の大井川宏之核変換セクションリーダーは「ネプツニウム237の場合、10%未満は長寿命のまま残る可能性はあるが、多くは放射能のないルテニウム102とセシウム133に変換される」と話す。

鍵握る分別技術

 高レベル放射性廃棄物はこれまで、ひとまとめに加工してガラス固化体にされてきた。核変換を行う場合は目的の元素を取り出す分別が必要で、これが処理の効率化にもつながる。

 ルテニウムやロジウムなどの白金属は、分別により資源として再利用が可能に。ストロンチウムなどの発熱性元素を分別すれば、冷却時間や地上の保管面積、地層処分量を削減できる。この結果、高レベル廃棄物は貯蔵面積が従来の100分の1、容積が3分の1になり、貯蔵期間も約300年に短縮する。

 一方、分別は今後の技術的な課題でもある。高レベル廃棄物から目的の元素だけを抽出する実証実験はこれからで、実用化時は大規模な処理施設も求められる。また、重金属から高速の中性子を効率よく発生させるための陽子照射方法の研究も必要だ。

 大井川氏は「加速器は日本の得意分野であり、その技術を応用して課題を克服し、原子力の安全利用と廃棄物処分の効率化を目指したい」と話している。
ーーー産経新聞(26.1.20)







原発依存か、脱原発か:【基礎知識】原発のごみの捨て場所はあるのか?
(26.1.14)


◇最終処分場のある国、ない国

 原発から出るごみは、大きく分けて2つある。一つは使用済み核燃料、もう一つは廃炉によって生じる廃棄物だ。日本にとっては、目下どちらも喫緊の課題である。


高い放射線を発する核のごみはガラスとともに融解・固化される。青森県六ケ所村の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターには海外から返還されたガラス固化体が貯蔵されている=2013年1月15日、太田誠一撮影(毎日新聞社)

 発電に使ったあとの燃えかすである高レベル放射性廃棄物は、ガラス原料と一緒に高温で溶かしてステンレス容器に入れたもの(ガラス固化体)を、地下300mを超す深い場所に埋める、いわゆる「地層処分」が最適とされている。もっとも、数万年にわたって処分場の安定が維持できるかどうかは誰もわからない(いまから数万年前といえば、ネアンデルタール人がいた時代である)。そのため、廃棄物を完全に封印するか、当初の数十年から数百年間は取り出し可能な状態で保管するかは、各国によって方針が異なる。どちらにしても、この地層処分がすでに事業としておこなわれている国は、いまのところない。

 もっとも実現に近いのが、小泉元首相の「原発ゼロ」発言のきっかけになったフィンランドの核廃棄物処分場「オンカロ」である。処分地として決定済みで、2020年頃には操業を開始する予定だ。この場所の岩盤は、過去19億年、大きく動いた形跡がないという。

 これに次ぐのがスウェーデンで、現在、原発のあるフォルスマルクが処分地に選定されていて、決定待ちの状況である。決まれば2029年頃に操業開始となる。この2カ国の処分場は、バルト海を挟んでちょうど向かい合う位置にある。

 いっぽうフランスでは、スペイン国境に近いビュールに核廃棄物地下研究所があり、ここに処分場を建設して、2025年頃に操業を開始する計画が進んでいるが、地元では反対の声が強い。

 アメリカでは、ブッシュ政権の時代にネバダ州ユッカマウンテンに処分場を建設する計画が進んでいたが、地元の反対が根強く、オバマ政権になってこれを撤回した。

 そのほか、スイス、ドイツ、イギリス、カナダ、中国などでも処分場選定の動きが見られるが、具体的な候補地が決まった国は一つもない。日本も同様である。

 ■日本の最終処分場はどこか

 日本は使用済み核燃料を再処理してプルトニウムとウランを取り出し、繰り返し使用するという核燃料サイクル政策を進めようとしているが、現実には頓挫している。仮にそれが操業にこぎつけたとしても、再処理の過程で出る高レベル放射性廃棄物をどうするかはまったく未解決だ。

フランスを除くほとんどの国では、再処理をせずに使用済み燃料を高レベル廃棄物として直接処分する方針をとっている。再処理することでコストが減るわけではないことがわかったからだ。

 だが日本は、巨費を投じて始めた事業だけにやめることができずにいる。かといって、核燃料サイクルが機能しているわけではないため、使用済み燃料から取り出したまま使いようのないプルトニウムが現在も増えつづけているのである。そのうえ高レベル廃棄物最終処分場は選定すら進んでおらず決まる見込みはほとんどない。文科省所管の日本原子力研究開発機構が、北海道幌延町と岐阜県瑞浪市に設けた超深地層研究所で地層処分の研究開発を進めてはいるが、すでに地元では研究所周辺が最終処分場とされるのではないか、との懸念の声があがっている。

 中間貯蔵施設を受け入れている青森県は、「最終処分場とはしない」と国に確約させた。しかし、県民のあいだでは、それを反故にされるのではという疑念がたびたび生じている。高レベルではないが、福島県内の除染によって生じた汚染土の処理にも同様の問題がある。政府は12月14日、双葉、大熊、楢葉の3町長と佐藤雄平福島県知事に対して汚染土の中間貯蔵施設の建設受け入れを要請した。難航が予想されるのは、中間貯蔵施設がそのまま最終処分場に転じるのではないかという懸念があるからだ。

 高レベル廃棄物の最終処分場の選定は、これまで、電力会社が中心になって2000年に設立された原子力発電環境整備機構(NUMO)が候補地を公募し、自治体の応募を待つ方法に頼ってきた。地元の説得が最大の難関だからである。応募があれば立地の適性を調査することになるが、その調査段階で地元に年10億円の交付金が入ることになっていたため、いくつかの自治体で立候補をめざす動きがあった。しかし、実際に立候補したのは高知県東洋町(2007年)だけだった。それも、住民の反発は大きく、反対派の町長が当選したことによって撤回された。

福島第一原発の事故後は、自治体からの立候補はまず望めなくなった。そこで経済産業省は、2013年12月6日に公表した「エネルギー基本計画」原案の中で、NUMOが公募する方式から、国が主導して候補地を選び、地元に提示する方式に改める方針を盛り込んだ。地層や地下水の流れを分析し、安全とされる場所を全国から100カ所程度選び出し、国が調査して、その情報を地元に提供するという手順である。

 経産省はこの基本計画で、原発を「重要なベース電源」と位置づけ、核燃料サイクルの継続も明記した。経産省の諮問機関である総合エネルギー調査会は、「重要なベース電源」の前に「基盤となる」の文言を加え、さらに原発の必要性を強調した。

 ■廃炉作業は未知との闘い

 もう一つの放射性ごみは、廃炉によって発生するスクラップだ。

 原発は建設から40年で運転を終了し、廃炉にすることを原則としている。事故を起こした福島第一原発の廃炉が決まる前、日本で運転停止した原発は5基、そのうち最初に解体されたのは、日本原子力研究開発機構のJPDR炉(茨城県東海村)である。この原発は1963年、日本最初の原子力発電に成功した記念すべき試験炉で(初臨界した10月26日がのちに「原子力の日」となった)、1976年に所期の目的を達して運転終了、10年ほどをかけて解体を完了した。

 もっとも、使用済み燃料さえ取り出せば、一般の原発の解体で生じる廃棄物の9割以上が放射性廃棄物ではなく、法的には一般の廃棄物と同様の処分が可能となる。しかし、周辺住民の意識は複雑で、日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」を廃炉にした際は、汚染されていないコンクリートを漁礁に再利用しようとしたが、風評被害を恐れる地元漁協の反対にあって断念した経緯がある。

 福島第一原発の事故が起きるまで、54基の原発が稼動していた日本では、毎年1基ぐらいずつ運転停止する原子炉が出る計算で、放射性廃棄物の安全な処理など、廃炉技術を磨きながら、海外への技術輸出を含め、これをビジネスとして成立させようとしていた。

だが、放射性の汚染水にまみれた福島第一原発の廃炉作業は、そうした経験がまったく役に立たない、未知との闘いといってよい。東京電力は11月18日、4号機の使用済み核燃料をプールから取り出す作業を開始。2011年12月から始まった廃炉工程表の第2期に入った。このあと、2021年頃から、第3期として正念場の原子炉内に残る溶けた燃料の処理にとりかかる。1〜3号機は4号機よりはるかに放射線量が高いため、作業はさらに困難になる。終了までには早くて30年、遅ければ40年はかかる事業だといわれる。

 福島第一原発の廃炉を進めるにあたって、首相を本部長とする政府の原子力災害対策本部の下に「廃炉対策推進会議」や「廃炉・汚染水対策チーム」ができたが、全体を継続して監督する組織がない。経済産業省では、原子力損害賠償支援機構を改組し、東電がおこなう廃炉作業を最終段階まで監督する役割を追加する方針を立てている。改正法案が2014年の通常国会を通れば、新機構が4月に発足、名称は「原子力損害賠償廃炉支援機構」になる見通しだ。
ーーー毎日新聞(26.1.14)









--- 日本原子力文化振興財団(福島第一原発事故)
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