福島原発事故の原因を探る

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福島第一原発の事故は、甚大な被害を起こしているのに理解しにくい点が多い。何故だろうか?

ようやく出た中間報告書は綿に包んだ表現だが、東電による人的ミスの原因と、大事故を迅速に処理せねばならない命を賭しても解決するという決意の欠如の2点に集約できるのではないだろうか?
政府の対応も不適切で、臭いものには蓋をする逆効果の処置の稚拙さが目立ち、被害は減少するよりも拡大したという、まさに人災という印象だ。
身に迫る危険から遠ざかり、ぬるま湯社会に慣れた日本社会への重大な警告としても考えるべきだ。
「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」の報告書が提出された。懸念していたことが指摘されている。
既に事故から1年2ケ月経過したが、緊急かつ重大なことなのに、原因はいまだに公的に明らかにされていない。 おかしなことだ。




安全神話に安住」「ダブルチェックが形骸化」 廃止の保安院と安全委が原発事故を自省


原子力規制委員会が19日に発足するのに伴い、廃止される経済産業省原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会は18日、職員への訓示や記者会見を開き、それぞれの組織について総括。東京電力福島第1原発事故を防げなかった点を、改めて謝罪した。

チェックが形骸化、原子力委員会
原子力安全委員会の最後の会合を終え、記者会見する班目春樹委員長

原子力安全委員会の最後の会合を終え、記者会見する班目春樹委員長=2012年9月18日、東京都内

 保安院は深野弘行院長が、職員を集めて「反省、おわびの気持ちを持ち続けていただきたい」と訓示。訓示後に報道陣から事故を防げなかった原因を問われると、「安全神話に安住していた面は否定できない」と述べた。

 保安院は福島第1原発事故で政府や国会の事故調査委員会の指摘に対し、保安院が事故後に行った取り組みと、規制委へ引き継ぐべき課題などをまとめた報告書も公表。「内外の新たな知見を積極的に取り入れ、安全性・信頼性の向上を絶え間なく追求し続けることが必要」などと総括した。

 昨年6月から保安院の広報担当として会見を行ってきた森山善範原子力災害対策監は「これだけは起こしてはいけないという事故を防げなかったのは痛恨の極み。安全に対する過信や思い込みがあった。さまざまな局面で事故を回避、緩和できたかもしれないので、なおのこと申し訳ない」と陳謝。その上で、「透明性があれば外部から指摘が得られた」とし、透明性の確保が規制委の最大の課題との見解を示した。

 一方、安全委も同日、最後の会合を開催。班目春樹委員長は「備えが足りなかった。国民の皆さまにおわび申し上げる」と語り、保安院とのダブルチェック体制での原子力規制行政は、「あまりにも形骸化していて、実効的でなかった」と総括した。規制委に対しては「電力事業者が自主的、継続的な安全対策に取り組むよう的確に指導してほしい」と注文をつけた。

 保安院は平成11年のJCO臨界事故対応で、科学技術庁の隠蔽体質が批判されたことから13年に発足。安全委は昭和49年の原子力船むつの放射線漏れ事故を受け、原子力委員会の安全規制に関する機能を分離し53年に発足した。しかし、両組織とも、福島第1原発事故では期待された機能が果たせず、廃止が決まった。

 枝野幸男経産相も同日、同省職員らに対し「東京電力福島第1原発のような事故を起こさないという国民の期待に、十分に応えることができなかった。廃止を重く受け止める必要がある」と訓示した。
−−−産経新聞(24.9.19)





国会事故調査委員会最終報告書提出


福島原発事故は「人災」=官邸介入で被害拡大―国会事故調が報告書

東京電力福島第1原発事故を検証してきた国会の事故調査委員会(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)は5日、「事故の根源的要因は『人災』で、政府、規制当局、東京電力は人々の命と社会を守るという責任感が欠如していた」とする報告書を公表した。

 報告書は約640ページ。事故の背景として、「これまで何度も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局と東電経営陣が先送りしてきた」とした上で、「今回の事故は自然災害ではなく、明らかに『人災』だ」と断定した。

 また、事故直後の対応について、経済産業省原子力安全・保安院の機能不全や東電本社の情報不足に不信を募らせた首相官邸が、現場に過剰に介入したと指摘。「重要な時間を無駄にしただけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大した」と批判し、「事故の進展を止められず、被害を最小化できなかった最大の要因」と述べた。
−−−ウオールストリートジャーナル(日本語版)(24.7.6)



原発事故は人災」 国会事故調が報告書決定

国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(黒川清委員長)は5日、事故の原因や対応の改善策などを盛り込んだ最終報告書を決定し、衆参両院の議長に提出した。午後に公表する。報告書は首相官邸の対応について「発電所への直接的な介入は指揮命令系統の混乱を拡大する結果となった」と明記。当時の菅直人首相らの初動対応を批判している。

報告書は菅氏について「首相は緊急事態宣言の発出がすべての事故対応の前提になることを十分理解していなかった」と指摘。「何度も事前に対策をたてるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は自然災害ではなく、あきらかに人災だ」と結論づけた。「被害を最小化できなかった最大の原因は官邸および規制当局を含めた危機管理体制が機能しなかったこと、そして緊急時対応で事業者の責任、政府の責任の境界があいまいだったことにある」とした。



当時の清水正孝・東電社長らが政府に福島第1原発からの「全面撤退」を求めたとされる問題でも「東電が全面撤退を決定した形跡はない」と明記した。
政府に危機管理体制の見直しや規制当局への国会の監視など7項目の提言を盛り込んだ。
同日の委員会で、黒川委員長は「短期間だが徹底した調査、検証を行ってきた。報告書の提言を着実に実行し、不断の改革の努力を尽くすことが、国会や国民一人ひとりの使命だ」と述べた。
先月9日に発表した論点整理では、菅氏らが現地の発電所内と直接連絡をとった経緯などを挙げて官邸が「事故対応に過剰介入したのではないか」と指摘した。報告書でも、事故発生後の菅氏らの言動が初動対応での混乱に拍車をかけたとの見解を示した。
国会事故調は昨年12月から調査を進めてきた。これまでに菅氏や当時の官房長官だった枝野幸男経済産業相、経産相だった海江田万里氏と、東電の勝俣恒久前会長(当時会長)、清水氏らを公開で聴取。菅氏らの聴取決定まで時間がかかったことから、当初予定していた6月中の報告書提出は7月にずれ込んだ。
−−−日経新聞(24.7.6)


原発事故は「人災」と断定 国会事故調が最終報告

東京電力福島第一原発事故を検証する国会事故調査委員会(黒川清委員長)は5日、最終報告書を決定し、衆参両院議長に提出した。東電や規制当局が地震、津波対策を先送りしたことを「事故の根源的原因」と指摘し、「自然災害でなく人災」と断定。首相官邸の「過剰介入で混乱を招いた」として、菅直人前首相の初動対応を批判した。東電が否定している地震による重要機器損傷の可能性も認め、今後も第三者による検証作業を求めた。

 報告書は641ページ。事故調は延べ1167人に900時間以上の聴取を行い、関係先から約2千件の資料提供を得た。東電や電気事業連合会、文部科学省、原子力安全委員会などから入手した13点は非公開の前提で提供され、公表を見送った。

■地震・津波対策「意図的な先送り」

 報告書は地震、津波対策について、東電や経済産業省原子力安全・保安院などの規制官庁が「意図的な先送りを行った」と踏み込み、「何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、事故は明らかに人災」と断じた。
−−−朝日新聞(243.7.5)


国会事故調 報告書を公表へ

東京電力福島第一原子力発電所の事故原因などの解明に取り組んできた、国会の原発事故調査委員会は、5日午前の委員会で、当時の総理大臣官邸が事故対応に介入を繰り返し、指揮命令系統を混乱させた、などと指摘した報告書を取りまとめました。
委員会は、午後、報告書を衆参両院の議長に提出したあと公表することにしています。

国会の原発事故調査委員会は、福島第一原子力発電所の事故原因などを解明するため、去年12月に設置され、菅前総理大臣や東京電力の清水元社長らを参考人として招致するなどして、半年間にわたって調査を続けてきました。
5日、国会内で開かれた20回目の委員会で、黒川委員長は「短期間だったが徹底した調査、検証を行ってきた。38人の参考人に聴取を行い、作業チームで延べ1167人、900時間を超えるヒアリングを行った」と述べました。
そのうえで、黒川委員長は「報告書の提言を踏まえ、不断の努力を尽くすことが、国会議員、国会、国民の使命であると確信している。報告書が被災された方の役に立つように祈っている」と述べました。
そして、委員全員が報告書の内容を了承し、およそ600ページに及ぶ報告書を取りまとめました。
報告書では、事故当時の総理大臣官邸の対応について、事故対応に介入を繰り返し、指揮命令系統を混乱させたなどと指摘しているほか、確実な情報のみを発信したことが住民避難に混乱を引き起こしたなどとする見解が示されています。
委員会は、午後、報告書を衆参両院の議長に提出したあと公表することにしています。
===NHK(254.7.6)





 原発事故対策・安全対策はすでにある:問題は実行力


関西電力は、大飯原原発の再稼働の課題もあって、安全対策を発表ぴしているが、東電の安全対策は事故前ののままで、まだ多重安全装置とか役に立たなかった装置の説明を続けている。 この無神経さの東電の体質は今後も変わりそうもない。 放置せず一度会社を潰し、再生させるしか解決方法はないのではないだろうか。大きすぎて潰せないだろうという体質は、すべての安全対策の障害になるのは明らかだ。

当面の再稼働に当たり指摘されているた対策は:


−−読売新聞

問題はいつまでにやるのか? 誰が責任を持って監督するのかだろう。



国が過去(1992年)に明らかにした安全対策の項目,52項目:これが完全に実施され、状況を把握していたら、事故は見善意防げただろう。


関西電力・大飯原原発の安全対策の現状





関西電力の安全対策・詳細計画








上記のとおり立派な計画があるにかかわらず、何故2〜3年かけて、実施するのだろうか? この間に、事故発生した場合の費用の機会損失と、すぐにやる投資効果をきちんと検証したのだろうか? それらの説明なく先延ばしは、単なる無責任さの暴露に過ぎないのではないだろうか?


「安全」を作文 原発情報を開示せよ

全交流電源喪失。その対応がとれずメルトダウンに。だが、このような事態への対策を原子力安全委員会が自ら潰(つぶ)し、隠蔽(いんぺい)を続けていたとは。原発再稼働というのなら、情報の開示を実行すべきだ。

 原発の安全指針に、長時間の全交流電源喪失(SBO)対策を盛り込むか、どうか。東京電力は「ノー」という。それに対して、安全の総本山ともいうべき原子力安全委員会が「その理由を作文してください」と求める。

 国の安全指針といえば、安全対策の根源であるはずだ。東京電力はそれを厳守する立場である。その東電に、安全委が「作文しろ」と投げるのだから、無責任もはなはだしい。しかも、事実を書けとはいっていない。作文とは「文を作れ」ということだ。安全を軽視するにもほどがある。

 SBOは福島第一原発事故の最も重大な原因だ。もし、この時指針に取り入れられて、東電がそれをきちんと守っていれば、このような大惨事には、恐らく至らなかっただろう。福島の住民は怒りを通り越す思いに違いない。

 その上、安全委は、関連する全資料を公開したと説明しながら、このようないきさつが書かれた、都合の悪い資料は隠していた。東電の“墨塗り”資料公開以上に悪質だ。原子力ムラの隠蔽体質も、ここに極まった感がある。

 原子力とは、もともと危険なものである。だから、それを使っていくには、万全の制御と規制が欠かせない。

 安全対策には膨大な費用がかかる。営利企業である電力会社が、その負担を回避しようと考えるのは、経済原理でもある。だから、信頼できる規制機関が、立地地域や電力消費者の立場に立って、厳しく目を光らせるべきなのだ。

 電力会社だけでなく、この国の原子力安全行政への信頼は落ちるところまで落ちてしまった感がある。いや、さらに何か隠していないかと、国民全体の疑心暗鬼は深まるばかりである。

 核に関する機密情報もある。しかし、今は、それを理由に不都合なことを隠しているのではないか、と心配になる。

 安全委は、本当に手持ちの原発情報をすべて開示して、国民の信を取り戻すしかない。

 さもないと、首相がいくら高らかに、原発の必要性や安全性を宣言しても、国民の多くは、それを受け入れないだろう。原発の再稼働は支持されない。
−−東京新聞(24.6.6)






「原発全電源喪失の対策不要」 安全委、業界の意向反映

国の原子力安全委員会の作業部会が1993年に原発の長時間の全電源喪失についての対策は不要と結論づけたのは、電力会社の意向が反映された結果だったことが4日、安全委の公表した資料でわかった。安全委事務局は対策が不要な理由を示す文書を電力会社に作るよう指示。作業部会は電力会社の意向に沿う報告書をまとめたため、指針は改定されなかった。

全電源喪失で大事故を起こした福島第一原発
全電源喪失で悲惨な大事故を起こした福島第一原発(右から1号機)

 東京電力福島第一原発は津波に襲われてすべての交流電源が失われ、原子炉の冷却ができなくなり事故を起こした。当時、対策をとっていれば事故を防げた可能性がある。

 作業部会は91年につくられ、専門家5人のほか部外協力者として東京電力や関西電力の社員が参加していた。安全委事務局によると、作業部会は当時対策を検討していたが、電力会社が「全交流電源喪失によるリスクは相当低く、設計指針への反映は行き過ぎだ」と反発したという。
−−−朝日新聞(24.6.4)


安全委、「電源喪失は考慮不要」 原発対策遅れの原因か

 東京電力福島第1原発では、地震後に外部電源が切れ非常用電源も起動しない状態が続いて事故が拡大したが、国の原子力安全委員会の指針で原発の設計の際に「長期間にわたる全電源喪失を考慮する必要はない」と規定されていることが6日、分かった。
 電力会社は国の指針に基づいて原発を設計、建設しており、この規定が設備の不備や対策の遅れにつながった可能性もある。
 今回の事故を受け、経済産業省は3月末に、津波による長期の電源喪失に備えて非常用電源を確保するよう電力会社などに指示したが、電力関係者からは「そもそも国の指針に不備があるのではないか」との声も出ている。

 指針は1990年に定めた「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」。   
 59項目のうち、27番目の「電源喪失に対する設計上の考慮」で、外部電源などの全交流電源が短時間喪失した場合に、原子炉を安全に停止し、その後の冷却を確保できる設計であることを要求。

 その解説で、長期間の電源喪失は「送電線の復旧または非常用交流電源設備の復旧が期待できるので考慮する必要はない」としている。
 第1原発は地震で外部電源を喪失。復旧に10日程度かかり、非常用電源も一部しか機能しなかったため原子炉が冷却できず、核燃料の損傷や原子炉建屋の爆発が起きた。
経産省の関係者は「指針は必要に応じて見直すべきではないか」としている。
−−−共同通信(24.6.4)


全電源喪失状況
津波のより全電源喪失の福島第一原発状況


津波被害状況
津波被害状況断面図;非常用発電機が水没







 対策は確実に迅速に進んでいるのか大いに疑問??


事故原因は、まだ確定されていないが、原発再開をめぐり、あたかも対策は進んでもう大丈夫の印象を与えるが、果たして本当だろうか? 防潮堤は道半ばで、緊急用電源はトラックに載った電源で、臨時的なパイプの冷却用給水管を用意したり、一応緊急時の練習をしたということでお茶を濁しているのではないだろうか? 営利企業だから一度にできる対策には限度があると言うのなら、事故で何兆円も使うのなら防止策に使う方が利口なことは誰でも知っている。 政府融資をするなり、今できる最善の対策を先延ばしせずに、今集中して行うべきだが、いつの間にか要点が霞んできている傾向を阻止せねばならない。
専門的な意見が出るのを待っていたがもう待ちきれない。 素人なりに考えたやるべき対策を下記する;

@防潮堤はいくら高くしても万全にはならない。 電源がなくなった場合の対策を臨時的でなく、恒久的な装置を設置すべ きだ。 ハード面はもちろんだがソフト面で、徹底した最大の危機を想定して訓練し、パニックを最小限に抑え現場の人と腕を活用する。

臨時の電源車
柏崎原発の電源車

A万一、電源を得られず原子炉の圧力が高くなる場合、ベント抜きしても大量の放射線汚染が広がらぬように、ガスの除  染装置を恒久的に設置する。


ベントフィルター<スエーデンでは全ての原発で採用されている)

B水素爆発防止に水素除去装置や、窒素ガスをすぐ注入できる装置を確立する。。ガスが逆流しないように原子炉ごとに排気ガス塔を作る。

水素吸収装置
関西電力の中長期行程表:水素除去装置

Cベント等の弁の開閉を複数の装置で行えるようにして(従来そうなっているという説明だが)、弁を自動的に動かせない最 悪ケースを防止する動力や操作の異なる系統の2重・3重の装置を設ける。 説明では原子炉は2重・3重の安全網があるので事故は起こらないと いうが、嘘パッチも甚だしい。机上の理屈でやっても、効果は上がらないのは、誰でも経験していることだ。ソフト面の習熟が大切だ。

安全網
使える安全網の確立と定期的な実施訓練

Dそれでも弁動かないとか、現場を見なければならない場合、人手で行えるように、安心できる放射性防御服の開発と訓  練、利用が必要だ。 飛行機のパイロット並みにシミュレーション訓練を重ね高級待遇する危機担当現場の専門家を育  成する。 事故直後に、フランスが防御服を用意してくれたが、使用した形跡はない。 事故後退去を考えた東電では、  高放射線を浴びても事故を最小限にする根性はない様だ。

放射線防御服の活用
放射線防御服は消防庁でも所有している


E即時に内部をチェックできるロボットの開発と操作の訓練


F玩具のロボットではなく、高放射線下でも必要な作業が的確に出来るロボットを至急作るべきだ。何故開発の進んでいる ロボットメーカが積極的に協力しないのか、又は協力を要請しないのだろう? 国の緊急時に技術や開発力を束ねる努  力がせれている様には見えないが、どうしてだろうか?

ロボットの活用
役立つロボットの実現

G原因の中で、東電は津波による電源喪失の危険性を知る機会があったことは明らかなのに、これを先延ばしにして大事 故を引き起こした。 危険防止の投資への意欲は何故低かったのだろうか? 私企業の営業センスでは原発の運営は無 理かもしれない。 リスク投資は先のばし、放射線から逃げるというのは一般企業では無理強いできなだろう。それならど うしたいいのだろうか?

専門新組織
原発専門運営組織

 同じミスをしたくなければ、原発を継続するならば、運営組織を電力を安全に供給することを第一とする原発専門の組織に移管すべきだろう。
東日本大震災の時支援するボランテイアの多さに感激し、日本の社会に自信を持った。 原発事故の処理もなんとか無事進んでいるので、安心できそうだ。 だが核心は、未解決のままで、時間任せになっている。
今は、日本社会が原発をどうするのか答えを求められている。 人任せでなく、社会の一員として真剣に考え、その結果のリスクは、人のせいにせずに、社会が甘受すべきことだろう。 それができないなら、今しか意見を言う時はないのではないだろうか?





 1年2ケ月経過後・事故原因を改めて考える・アイマート(弊サイト)の意見        


福島原発事故は、東日本大震災で@電源が切れ、更に,大津波でタービン建屋のモーター(非常用電源)の破壊 と A水冷機能を喪失したことによる 2つの要因に集約できる。  電力喪失の上、非常用冷却装置が碌に稼働せず、あっという間に原子炉が空焚き状況となり、それがが続いた状態下で、水素爆発を防止する適切な処置が迅速に取られなかったことが、事故を拡大させ放射線汚染を拡散させ多くの人の生命と生活を脅かした、大きな原因だ。

原因 電力喪失 非常用電気も喪失、
福島原発の事故要因:電源の切断、津波による浸水


津波で電源水没
福島第一原発、津波で電源水没・1(23.3.11)

津波で非常用発電機水没
福島第一原発、津波で電源水没・2(23.3.11)



非常用ヂーゼル発電機、津波で浸水後、まだゴミが残っていり状況


第一原発事故原因 敷地設計ミス

福島第一原発の津波被害防潮堤の低さが原因
津波で浸水した状況説明図
福島第2発電は津波の被害にあったが非常用発電機が稼働出来た為に大事故を防げた。


 福島原発においては、第一原発は大事故を起こしたが、第2原発は事故を防ぐことができた。その違いは非常用発電機が稼働出来たからである。
 一方同じ大地震に遭遇した女川原発は事故を起こさなかった理由として@非常用発電機の設置場所が高かったこと A防潮堤が高かったこと Bこのため交流電源を確保できたことと言われている。

女側原発の津波防止
女側原発の敷地断面説明図


東海第2原発の津波防御壁: どうして他の原発は見習わないのだろうか?




 更に水素爆発が~号機から4号機へと連続して発生したことは、@水素爆発防止対策が後手に回ったこと A排気管の設計ミスが原因と指摘できる。 爆発により90京ベクレルの放射物が空中に放出され、汚染を日本中にばらまき、今もなお汚染は止まっていないこの責任は大きく重い。

水素爆発 排気管設計ミス



現在、東電が進めている復旧作業はこの1年大きな事故もなく、予定通り進展していることは評価できるが、どうしても危うさを払しょくできない。 汚染除染処理のパイプは臨時的ですぐ漏れるし、4号機の補強も万全とはいえない。 1号機、2号機、3号機は、ようやくロボットで内部調査ができた程度で、何ら有効な対策は行われていない。 異常気象が続く昨今、今後も大地震が起こる可能性が消えたわけでないのに、地震・津波対策や情報開示もはおざなりで済まされている。

 米国原子力規制委員会のプシャール運転総局長は、『米国では交流発電喪失の対策は万全で実施済み』という。何故地震の大国の日本は後手に回ったのだろうか?

何故こういうことが起こったか? これは天災でなく、防止できるのにしなかった人災であると言える。 
これだけ重大かつ深刻な事故を起こしながら、原因究明や対策の論議はされながらも、いまだに明確な結論を得てないのはどうしたことだろうか?

放出放射線量 90京ベクレル   
単位:ベクレル、福島第一原発事故で、昨年3月12日〜31日の期間の大気への放射性物質量放出量は総計90京ベクレル(24.5.25)

アイマート(弊サイト)は、以上の考えに基づいて、今後も情報の収集や編集を積極的に行い、2度と原発事故が起こさせないにはどうすべきかを念頭に、掲載を継続致します。 

ご意見をどうぞお聞かせ下さい
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                          1〜4号機の現状を見る(福島原発の現状のまとめ)



事故直後「東電、全面撤退を申し出」…原発相

国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(黒川清委員長)は19日午前、細野原発相から事故後の状況などについて聴取した。

東電 事故直後 全面撤退を申し出
東電・勝俣前会長の記者会見(23.4)

 細野氏は昨年3月の事故当時、菅首相の補佐官として首相官邸や東京電力本店で事故対応に当たっていた。

 聴取は非公開で行われ、細野氏によると、細野氏は事故直後、東電が政府に対して福島第一原発からの「全面撤退」を申し出ていたとの認識を説明した。約2時間40分の聴取では、菅氏による東電本店や現地担当者への関与の状況などについても聞かれたという。国会事故調の聴取は原則公開だが、今回は菅氏の意思決定の背景を探ることを目的として、非公開で行われた。
ーー読売新聞(24.5.20)






国会事故調:海江田氏「伝言ゲーム」…情報共有が不足


国会の東京電力福島第1原発事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)は17日、事故当時、経済産業相だった海江田万里・民主党衆院議員を参考人として招致し質疑を行った。福島第1原発と首相官邸、東電本店との連携について「情報共有が決定的に不足していた。三つが伝言ゲームをやっているような状況で、このままではいけないと思った」と述べ、意思疎通を欠いていたと振り返った。

伝言ゲーム 情報共有不足 海江田氏
2時間半にわたり説明する海江田氏

 国会事故調が公開で、国会議員を聴取するのは初めて。事故当時、政府中枢で収束にあたった政治家から聞き取りを今後進める方針で、27日には当時、官房長官だった枝野幸男経産相から聴取する。菅直人前首相も招致する見通しで、6月中に報告書をまとめる。
−−毎日新聞(24.5.18)




“規制当局に「安全文化」が欠如”


国会の原発事故調査委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故について、これまでに明らかになった論点を整理し、この中では、「政府の原子力規制当局には安全に関する最高の知見を求め、規制に反映していくという『安全文化』が欠如していた」などと指摘しています。

事故調査委員会 安全文化欠如

国会の原発事故調査委員会は、去年12月から、事故原因の究明や、政府の対応の検証などを進めてきており、17日、海江田元経済産業大臣を参考人として招致して質疑を行いました。
そして、来月にも提出する報告書の取りまとめに向けて、これまでの調査で明らかになった論点を整理しました。
それによりますと、政府の原子力規制当局について、「常により高いレベルの安全性の実現に向けて安全に関する最高の知見を求め、規制に反映していくという『安全文化』が欠如していた」と指摘しています。
そのうえで、規制当局は、緊急時の事故対応を専門性を生かして、みずからの責任のもとに事業者や政治から独立して判断していく仕組みが欠けていたとしています。
一方、東京電力などの事業者に対しては、原子力発電所の危機管理について、「安全確保を最優先にしたものではなく、稼働率の向上や厳しい規制の導入によるコストの上昇の回避を目的としていた可能性がある」と指摘しています。
そのうえで、論点整理では、多くの安全施策が事業者の自主的な対応に委ねられ、実行されなかったことが今回の事故に直結したとして、「事業者がみずから進んで最高の安全を求めていくための制度的な枠組みが必要だ」としています。
17日の委員会のあと、記者会見した黒川委員長は「論点整理として、現時点の委員会の問題意識を示した。今後、報告書の作成に向けて、さらに議論して、ほかの論点についても近く示したい」と述べました。
事故調査委員会では、今月27日に、当時、官房長官を務めていた枝野経済産業大臣を、翌28日にも、菅前総理大臣をそれぞれ招致することにしており、政府首脳らの対応に問題がなかったか、明らかにしたいとしています。
−−NHK(24.5.18)







福島第1原発で「津波で電源喪失」を想定 保安院と東電、18年の勉強会で

経済産業省原子力安全・保安院と東京電力などが参加した平成18年の勉強会で、福島第1原発が14メートルの津波に襲われた場合、電源喪失する可能性があるとの文書をまとめていたことが15日、分かった。

 保安院によると、勉強会は、16年のスマトラ沖地震の津波により、インドの原発で冷却用の海水ポンプが水没するトラブルが起きたことなどを受けて18年1月から開催。保安院の呼びかけで、電力数社や原子力安全基盤機構が参加した。

 勉強会では、想定を超える津波の影響を調べるため、福島第1原発5号機をモデルに検討を実施。14メートルの津波に襲われた場合には建屋内に浸水し、電源設備や非常用ディーゼル発電機などが被害を受けて電源喪失する可能性があるとの文書を18年8月にまとめた。

 保安院は「当時の担当者は『対策をとるべきだ』と東電に口頭指示した」と説明。一方、東電は「海水ポンプの安全性向上の指示はあったが、電源喪失対策の指示はなかった」とした。

 東電は20年にも同原発で最大15.7メートルの津波を試算。同原発は震災で約15メートルの津波に襲われて事故に至り、東電は「想定外の津波が原因」としている。
−−−産経新聞(24.5.16)

津波で電源喪失
津波で浸水(23.3.11)

津波で電源喪失は想定したが検討せず
水没した全交流電源

電源津波喪失 18年に想定
電源復興御工事(23.3)




“電源喪失”を認識も対策を検討せず

原発事故が起きる5年前、国や東京電力が敷地を超えて津波に襲われると、建物の中に水が入り、すべての電源が失われると評価しながら対策を検討していなかったことが分かりました。
東京電力は、「当時、今回のような巨大津波に襲われるとは考えていなかった」としていますが、結果的に津波対策を見直す機会を逃したともいえ、詳しいいきさつの解明が求められます。

津波対策見直す数々の機会を生かせず

これは15日、東京電力が記者会見の中で明らかにしました。
それによりますと、スマトラ島沖の大津波から2年後の平成18年に、国の原子力安全・保安院や電力会社などが参加した勉強会で、福島第一原発については14メートルの津波に襲われると扉や搬入口などの建物の開いている部分から海水が入り、「電源設備が機能を失う可能性がある」と評価されたということです。
東京電力はその後、保安院から指示があった原子炉の熱を取り除くための海の近くにあるポンプを防水にするなどの対策を示しましたが、建物の中に水が流れ込むのを防ぐ対策は、検討しなかったということです。
これについて東京電力は、「当時は今回のような、実際に堤防を越える10メートルもの津波が襲ってくるという確かな評価がなく、対策の検討までされなかった」としています。
福島第一原発の津波対策を巡っては、事故の3年前にも10メートル前後の大津波が襲う可能性を示す試算がありながら、十分な対策を取っていなかったことが明らかになっています。
結果的に津波対策を見直す複数の機会を逃したとも言え、詳しいいきさつの解明が求められます。
−−−NHK(5.16)





 菅前首相の視察、処理妨げに…事故調で東電会長

国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(黒川清委員長)は14日、東京電力の勝俣恒久会長を参考人として招致し、公開で質疑を行った。

管前総理の視察 処理作業に防げ

 勝俣氏は福島第一原発事故について、「反省する課題は多々ある。大変な迷惑をかけて申し訳ない」と陳謝した。

 勝俣氏は、菅前首相が事故翌日に同原発を視察したことについて、「(当時の)吉田昌郎所長らが対応したが、所長は事故の復旧に全力を尽くすのが一番大事だった」と述べ、首相視察が事故処理の妨げになったとの認識を示した。

 さらに、「(所長に)電話での照会が、首相や首相補佐官からダイレクトにあった。芳しいものではない」と、菅前政権での首相官邸の対応に不満を述べた。
−−読売新聞(24.5.15)




原発再稼働判断に「反対」が55% 朝日新聞世論調


朝日新聞社が14、15日に実施した全国定例世論調査(電話)によると、定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を野田内閣が妥当と判断したことについて、賛成は28%にとどまり、反対は55%にのぼった。内閣支持率は25%で、下落傾向が続いている。
原発再開に反対55% 朝日新聞調査

 大飯原発の再稼働判断に反対が強い背景には、野田内閣が主張する安全性や必要性に対する不信感がある。内閣が再稼働判断の直前に決めた暫定的な安全基準について「信頼する」は17%で、「信頼しない」は70%。政府や電力会社の夏の電力需給の見通しを「信用する」は18%、「信用しない」は66%だった。

 安全基準を「信頼しない」人の70%、需給見通しを「信用しない」人の65%が再稼働に反対と答えている。

 原発を再稼働する場合、「地元の市町村や県の同意が必要か、それとも、政府が判断すればよいか」との質問に対しては、88%が「地元の同意が必要」と答え、「政府の判断でよい」は8%にとどまった.
−−−朝日新聞(24.4.16)



日本科学者会議、大飯原発再稼働に反対の声明


日本科学者会議は、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県)の再稼働に反対する声明をまとめ、13日に経済産業省と内閣府に提出した。
声明は10日付。声明では〈1〉政府の事故調査・検証委員会による東京電力福島第一原発事故の調査が終わっていない〈2〉地震や津波に対する原発の余裕度を調べる「ストレステスト(耐性検査)」が2次評価まで終了していない――ことなどから再稼働に反対し、現存する全原発の廃止も求めた。
−−−読売新聞(24.4.14)




原発立地自治体 70%が運転再開に慎重


原発立地自治体 70%が運転再開に慎重

全国の原子力発電所の立地自治体に、NHKが運転再開について尋ねたところ、「再開を認めない」、「今は判断できない」として、慎重な姿勢を示したのはおよそ70%に上りました。
この割合は、先月の調査結果と比べても大差はなく、政府が運転再開の新たな安全基準を決めても自治体の姿勢に大きな変化はありませんでした。

原発立地自治体 79%が再運転 慎重に

NHKは、全国の原発がある立地自治体のうち、福島県内を除く29の道と県それに市町村を対象に、今週、アンケート調査を行い、28の自治体から回答を得ました。まず、政府が今月6日に決定した原発の運転再開の新たな安全基準について尋ねたところ、「評価する」と答えたのは、福井県の高浜町と美浜町それに北海道の泊村で、「どちらかといえば評価する」と合わせると、7つの自治体、率にして25%が評価しました。
これに対し、「評価しない」と答えたのは、静岡県と茨城県の東海村の2つの自治体で、率にして7%、「どちらともいえない」が50%でした。
続いて、新たな基準を満たした段階での運転再開について尋ねたところ、「早く再開を認めたい」、「いずれは再開を認めたい」と答えたのは21%、「当面、再開を認めない」、「今後一切、再開を認めない」、「今は判断できない」として、慎重な姿勢を示したのは、68%に上りました。
この割合は、先月上旬の調査結果の62%と比べても大差はなく、政府が運転再開の新たな安全基準を決めても自治体の姿勢に大きな変化はありませんでした。
さらに再開に向けた課題を尋ねると、「原発のさらなる安全対策」や、「地元住民の理解」、「福島第一原発の事故の検証」、それに「原子力の必要性の明確化」などを重視すると回答しました。
−−−NHK (24.4.13)






「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」が2月27日、報告書提出


東京電力福島第1原発の事故原因を、民間の立場で独自に検証してきた「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」が27日、報告書をまとめた。政官業とは一線を画した立場からの報告は、菅直人前首相の行動を「混乱や摩擦のもとになった」と批判する一方、東電の事前対策の不備を「人災」と断罪。他の事故調が出した報告書とは異なり、当事者責任に深く踏み込み、「第三の事故調」の存在感をアピールする内容だ。

自治体 70%慎重に
報告書

 民間事故調の最大の特徴は、しがらみがない、自由度の高い調査だ。政府が設置した事故調査・検証委員会(政府事故調)や国会が設置した事故調査委員会(国会事故調)とは異なり、特定の機関から調査を委託されていないためだ。

 これまでに公表された政府事故調や東電の中間報告は、「原発内で何が起きたのか」という物理的事実の解明が中心だった。

 事故対応について、政府事故調は「官邸内の連携が不十分だった」と構造的な問題点を指摘したものの、政治家個人の責任追及はしておらず、東電は「厳しい環境下での対応を余儀なくされた」と自己弁護に終始している。

 「政府と東電が『国民を守る』責任をどこまで果たしたか検証する」と掲げた民間事故調は、菅前首相ら政府関係者の聞き取りを重視し、事故対応に当たった官邸の問題点を精力的に検証した。

報告書は、事故直後の官邸内の政府首脳の言動や思考を浮き彫りにすることで、「官邸による現場介入は無用な混乱を招いた」と厳しく指摘。さらに、他の事故報告書が触れていない「最悪シナリオ」にも言及し、政府が情報を隠蔽(いんぺい)してきた側面も強調した。

 東電に対しても、国際原子力機関(IAEA)の原則を引用して「第一義的な責任を負わなければいけない」として追及しており、過酷事故への備えがなく、冷却機能喪失に対応できなかったことを「『人災』の性格を色濃く帯びる。『人災』の本質は東京電力の過酷事故の備えの組織的怠慢にある」と言い切った。

民間事故調 報告書 提出
記者会見

 東電が「国と一体となって整備してきた」と釈明し、政府事故調が「極めて不十分だった」とするにとどめた姿勢とは対照的だ。

 ただ、課題も残った。国政調査権に基づく調査や証人喚問が要請できる国会事故調、公的な後ろ盾があるため「調査協力を拒まれた例はない」とする政府事故調と違い、民間事故調の調査は任意のため、相手の同意を得られなければできない点が、今回はネックとなった。東電に調査協力を拒まれ、技術的な問題点については、政府事故調の結果をほぼ追認する格好になってしまった。
−−−産経新聞(24.2.28)


「稚拙で泥縄的な危機管理」 報告書で浮かびあがった官邸のドタバタ


 ひたすら続く菅直人首相(当時)の怒声、困惑する官邸スタッフら…。東京電力福島第1原発事故をめぐり、民間の有識者による「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」が27日に公表した事故報告書。政府の対応を「稚拙で泥縄的な危機管理」と指弾した内容からは事故直後の緊迫した状況の中、政府首脳が右往左往する当時の様子が克明に浮かび上がった。
民間事故原因報告書  管首相が混乱を助長

報告書評価《首相の要請がベントの早期実現に役立ったと認められる点はない》

 混乱が際立ったのは昨年3月11日午後9時ごろだ。原子炉の冷却ができなくなったことから圧力が上昇。官邸と東電は炉内のガスを放出する「ベント」の準備を始めた。しかし、12日午前5時になってもベントが実施されないことを知った菅首相は、自衛隊ヘリで福島第1原発に向かう。

 枝野幸男官房長官(同)は「絶対に後から政治的な批判をされる」と反対したが、菅首相は「政治的に後から非難されるかどうかと、この局面でちゃんと原発をコントロールできるのとどっちが大事なんだ」と反論。枝野氏は「分かっているならどうぞ」と送り出した。

 この頃、福島第1原発では、菅首相の突然の訪問について、吉田昌郎所長(同)が東電本店に難色を示した。「私が総理の対応をしてどうなるんですか」

 午前7時すぎ、菅首相が現地に着くと、いきなり武藤栄副社長(同)に詰問調で迫った。「なぜベントをやらないのか」。電力がないことを説明した武藤副社長に菅首相は「そんな言い訳を聞くために来たんじゃない」と怒鳴り散らした。

 菅首相を鎮めたのは吉田所長の一言だった。「決死隊をつくってでもやります」。納得し、官邸へ引き揚げる菅首相。「吉田という所長はできる。あそこを軸にしてやるしかない」

 しかし実際にベントが行われたのは午前9時を過ぎてから。東電は10キロ圏内の住民避難完了後にベントをすることにしていたが、枝野官房長官がこの事実を知ったのは数カ月後だった。

報告書評価《官邸の中断要請に従っていれば、作業が遅延していた可能性がある危険な状況であった》

 同12日午後3時36分、1号機原子炉建屋が水素爆発する。約1時間後、首相執務室に寺田学首相補佐官が駆け込んできた。テレビのチャンネルを変えると、建屋が爆発、白煙が上がる映像が流れた。

 「爆発しているじゃないですか。爆発しないって言ったじゃないですか」。驚く菅首相に、そばにいた原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は「あー」と頭を抱えるしかなかった。

同午後5時55分に海江田万里経済産業相(同)は原子炉冷却のために海水注入を指示し官邸の会議で報告。ところが菅首相は「分かっているのか、塩が入っているんだぞ。影響を考えたのか」と議論を引き戻した。

 さらに班目氏に対して核分裂が連鎖的に起きる「再臨界」の可能性を問いただすと、返答は「ゼロではない」。菅首相は「大変じゃないか」と再臨界防止方法の検討も指示した。

 会議参加者の間では既に、早急な海水注入が必要との認識で一致していた。「今度失敗したら大変なことになる」。菅首相に疑念を抱かせないように、次の会議に向け、各自の発言内容の確認と入念なリハーサルが行われる“茶番”も繰り広げられた。

 このとき、既に福島第1原発では海水注入が開始されていた。東電本店は電話で吉田所長に「首相の了解がまだ取れていない」と、中断を要請したが、吉田所長は独断で海水注入を継続した
−−−産経新聞(24.2.28)


菅首相が介入、原発事故の混乱拡大…民間事故調


東京電力福島第一原発事故に関する独立検証委員会(民間事故調、委員長=北沢宏一・前科学技術振興機構理事長)は27日、菅前首相ら政府首脳による現場への介入が、無用の混乱と危険の拡大を招いた可能性があるとする報告書を公表した。
福島原発事故独立検証委員会 報告書 稚拙で泥縄式の危機管理
 報告書によると、同原発が津波で電源を喪失したとの連絡を受けた官邸は昨年3月11日夜、まず電源車四十数台を手配したが、菅前首相は到着状況などを自ら管理し、秘書官が「警察にやらせますから」と述べても、取り合わなかった。

 バッテリーが必要と判明した際も、自ら携帯電話で担当者に連絡し、「必要なバッテリーの大きさは? 縦横何メートル?」と問うた。その場に同席した1人はヒアリングで「首相がそんな細かいことを聞くのは、国としてどうなのかとゾッとした」と証言したという。

 翌12日朝、菅氏は周囲の反対に耳を貸さず、同原発の視察を強行。この際、同原発の吉田昌郎前所長(57)が東電本店とのテレビ会議で、「私が総理の対応をしてどうなるんですか」と難色を示す場面を目撃した原子力安全・保安院職員もいたという。

 報告書は、官邸の対応を「専門知識・経験を欠いた少数の政治家が中心となり、場当たり的な対応を続けた」と総括し、特に菅氏の行動について、「政府トップが現場対応に介入することに伴うリスクについては、重い教訓として共有されるべきだ」と結論付けた。
−−−読売新聞(24.2.28)


「首相のベント指示、米では考えられない」

 国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)は27日、国会内で第5回委員会を開き、リチャード・メザーブ元米原子力規制委員会(NRC)委員長から参考人聴取した。
メザーブ氏は、東電福島第一原発事故で菅首相(当時)が放射性物質を含む蒸気を外部に放出する「ベント」の実施などを指示したことに言及し、「米国では考えられない。そんな決定を大統領がすることはない」と述べた。また、米国での原発事故発生時の対応について「規制当局(NRC)と事業者が緊密に連携する。基本的に責任を取るのは事業者というのが徹底されている」と指摘。米国では原発事故対応で政治家が関与するケースは限定的との見解を示した。
−−−読売新聞(24.2.28)





放射性物質放出、1月の7分の1に減 福島第一原

政府と東京電力の福島第一原発の廃炉に向けた中長期対策会議が27日、開かれ、原子炉建屋からの放射性物質放出は先月の7分の1に減ったことなど、作業の進捗(しんちょく)状況を明らかにした。放射能汚染水を海に放出できるぐらいにまで浄化できる設備を9月までに新たに設置。3月上旬に工業用内視鏡による2号機格納容器内の2度目の調査をするという。

 炉心溶融事故を起こした1〜3号機の原子炉建屋からの新たな放射性物質の大気への放出量は毎時約1千万ベクレルで、先月の7分の1に減った。放出源のほとんどが、爆発で原子炉建屋が激しく破損した状態がそのままになっている3号機からの放出だった。津波で破損した大物搬入口を塞いだことなどが理由としている。

 対策会議では、東電が東芝製浄化装置の多核種除去設備「アルプス」の基礎試験結果を公表。現在の浄化装置はセシウムの除去が主だが、セシウム以外の核種も取り除くことができるという。試験ではガンマ核種45種類で、法的に海に放出できる限度以下に減らすことができた.
−−−朝日新聞(24.2.28)





原発津波対策 道半ば 防潮堤、今年完成は3か所のみ


東京電力福島第一原発事故を受け、国が全国の原発に求めた中長期の地震・津波対策のうち、防潮堤と水素爆発対策の整備が進んでいないことが朝日新聞の調べでわかった。防潮堤が今年中に完成するのは3カ所にとどまった。水素爆発防止対策を終えた原発はなく、多くが未着手。原発の再稼働の議論が進む中、根本的な対策は道半ばだ。

原発安全対策道半ば

 福島第一原発は津波で非常用発電機などが浸水し、原子炉が冷却できなくなって大量の放射性物質が飛散した。事故後、経済産業省原子力安全・保安院は電力各社に緊急安全対策と過酷事故対策を指示した。

 今回、このうち整備に比較的時間がかかる(1)防潮堤やそれに相当する設備の設置・強化(2)水素爆発防止(3)空冷式の非常用発電機の新設――の中長期対策3点について、福島第一を除く全国17原発での整備状況を、各電力会社にアンケート方式で聞いた。

 防潮堤の新設やかさ上げ計画があるのは12カ所。このうち実施中は泊(北海道)、女川(宮城県)、柏崎刈羽(新潟県)、浜岡(静岡県)、志賀(石川県)、美浜、高浜、大飯(いずれも福井県)、島根(島根県)の9カ所で、東通(青森県)、東海第二(茨城県)、敦賀(福井県)が未着手だった。
ーー朝日新聞(24.2.22)



島根原発 3号機防潮堤完成
島根原発では、3号機周辺の防潮堤がほぼ完成し、3号機の津波対策は今年度で完了し、引き続き、1・2号機の津波対策が行われることになっている。(23.12.12





2トップ、福島事故で謝罪 「言い訳に時間をかけた」「私は文系で…」


国会が設置した東京電力福島第1原発事故調査委員会(委員長・黒川清元日本学術会議会長)の第4回委員会が15日、国会・衆院別館で開かれ、原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長と経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長が、原子力の安全規制当局として事故を防げなかったことについて陳謝した。

保安院トップ事故で謝罪
<東電福島原発事故調査委員会で参考人として、答弁する前原子力安全・保安院長の寺坂信昭氏,2月15日午後、国会・衆院第16委員室

 班目氏は津波や全電源喪失に備える原発の安全指針について「瑕疵(かし)があったと認めざるを得ない。おわびしたい」と謝罪。指針が改善されなかった背景について「低い安全基準を事業者が提案し、規制当局がのんでしまう。国がお墨付きを与えたから安全だとなり、事業者が安全性を向上させる努力をしなくなる悪循環に陥っていた」と言及し、「わが国は(対策を)やらなくてもいいという言い訳に時間をかけ、抵抗があってもやるという意思決定ができにくいシステムになっている」と述べた。

 寺坂氏は平成16年の美浜原発配管破断事故などを挙げ、「(保安院は)安全規制を進めようとしていたが、個別の問題の改善や安全確保に相当な時間や人員をとられた」と釈明した。

 官邸への助言など、事故当時のそれぞれの行動について、班目氏は「1週間以上寝ていないのでほとんど記憶がない。私がいた場所は固定電話が2回線で携帯も通じず、できる助言は限りがあった」と説明。寺坂氏は「私は文系なので、官邸内の対応は理系の次長に任せた」と述べた。

また、放射性物質の拡散予測システム(SPEEDI)を避難に活用しなかったと政府事故調などで指摘されていることについて、班目氏は「SPEEDIがあればうまく避難できたというのは全くの誤解だ」と反論。寺坂氏は「避難方向など何らかの形で有用な情報になったのではないかという思いはある」と述べ、異なる認識を示した。

 黒川委員長は委員会後の会見で「安全委員会と保安院は安全を担う使命を持っているが、緊急時の備えができておらず、事故がない前提で原子力行政を推進するなど、国民の安全を守る意識が希薄だ」と批判した。
−−−産経新聞(24.2.16)




福島第二:冷却機能停止、大惨事と紙一重だった


 東日本大震災で被災した東京電力福島第二原子力発電所(福島県楢葉町、富岡町)が8日、震災後初めて報道陣に公開された。
福島第2原発 大惨事と紙一重 所長談
報道陣の質問に答える福島第二原発の増田尚宏所長

 震災当時から現場を指揮してきた増田尚宏(なおひろ)所長(53)は、報道陣に対し、「(大惨事を招いた)福島第一原発と同様の事態まで、紙一重だった」と震災直後の緊迫した状況を振り返った。

福島第2原発 冷却装置停止 大惨事と紙一重

 第二原発とメルトダウン(炉心溶融)に至った第一原発の距離はわずか約12キロ・メートル。襲来した津波は第一原発の13メートルに対して第二原発は9メートルだったが、海岸近くにある原子炉を冷却するための海水ポンプの機能が奪われ、原子炉4基中3基が一時危険な状態に陥った。しかし、外部からの高圧送電線が1回線生き残り、中央制御室で原子炉の温度や水位などのデータが把握できた。必要な対策を見極め、事故4日後の3月15日までに全号機で冷温停止にこぎ着け、放射性物質は外部に漏れなかった。「原子炉の状態をつかめなかった第一原発とは大きく違った」と増田所長は指摘する。ただ、復旧までの道のりは険しく、総力戦だった。

福島第2原発 冷却装置停止 大惨事 紙一重
4号機の圧力容器底部。第一原発では、ケーブルがついている中性子の計測管などから燃料が落下したとみられる

原発停止 影響66%


−−−読売新聞



原発停止「地元に影響」66%

 
全国の原子力発電所の9割以上が運転を停止するなか、NHKが地元自治体に、原発の停止が続く影響について尋ねたところ、「影響がある」と答えたのは66%に上り、自治体の財政や地域経済への影響を懸念する意見が相次ぎました。


原発停止 地元に影響

NHKは、原発の地元の道と県、それに市町村のうち、福島県内を除く29の自治体に、今月、アンケート調査を行い、すべての自治体から回答を得ました。
全国の原発は9割を超える51基が停止中で、自治体に、原発が運転を再開しないなかで影響が出ているかを尋ねたところ、「影響がある」と答えたのは19の自治体で、率にして66%、「影響がない」と答えたのは5の自治体で17%となりました。
原発事故から半年余りの去年9月にNHKが行った調査では、「影響がある」という回答は45%にとどまっていて、運転停止が長期化するなかで、地元に影響が広がっていることが分かります。
自治体に影響の具体的な内容や対策を尋ねたところ、「原発の停止で、核燃料の価格などに応じて電力会社に課税する核燃料税の収入が見込めない。来年度の予算編成では歳出のスリム化などの努力を行う(静岡県)」「宿泊施設や飲食店の売り上げ減少など、地元経済への影響がある(泊村)」など、自治体の財政や地域経済への影響を懸念する意見が相次ぎました。
核燃料税を巡っては、北海道、静岡県、愛媛県、佐賀県が、原発の運転再開の見通しが立たないとして、新年度の当初予算案で税の収入を初めて計上しない方針を固めたほか、福井県と青森県が、税収の確保のために原発が停止中でも課税できる新たな方式を導入するなど、各地で対応に追われています。

−−−NHK(24.2.9)






廃炉までの作業・工程表


東京電力福島第1原発の廃炉に向け、政府と東電がまとめた工程表案で、施設を解体撤去し、作業がすべて終了するまでに最長40年との期間を示していることが平成23年12月5日判明した。

政府と東京電力がまとめる福島第1原子力発電所1〜4号機の廃炉に向けた工程表の最終案が平成23年12月5日、明らかになった。20〜25年後に原子炉の解体に着手し、廃炉完了は最長で40年後とする。危険性が指摘される4号機の使用済み核燃料プールは2014年から燃料取り出しを開始。放射線の影響を軽減するため原子炉格納容器を水で満たす冠水状態による作業も盛り込む。

 工程表案では工期を3年後までの中期、4〜10年後の中長期、10〜40年後の長期の3段階に設定。中期では、原子炉建屋内の放射線量が低い4号機のプールから燃料の取り出しを始める。4号機は水素爆発で建屋が激しく損傷し、プール倒壊の恐れがあった。次に3号機、1〜2号機の順にプールから取り出す。

廃炉までの手順イメージ
手順イメージ図

廃炉までの作業・工程表
手順に関する疑問点

作業イメージ(毎日新聞資料)
廃炉工程表


原子炉の現況


福島原発の1〜4号炉の現状

福島原発 原子炉現況
産経新聞資料




3号機 ベントで水素逆流し爆発か


東京電力福島第一原子力発電所の3号機で、格納容器の気体を放出する「ベント」を行った際、水素が別の配管を逆流して、原子炉建屋に流れ込み、水素爆発を起こした可能性があることが新たに明らかになりました。


ベント逆流図解:マスコミは既に何度も指摘してきた(朝日新聞資料)


水素爆発した3号機


排気管を一緒にする危険を考えないのは全くおかしい。

福島第一原発の3号機は、3月14日に水素爆発を起こしましたが、前日の13日以降、格納容器の圧力を下げるため、中の気体を外部に放出する「ベント」を、複数回行っています。東京電力が、最近になってベントの配管から枝分かれして原子炉建屋につながる別の配管を調べたところ、ベントで放出された水素を含む気体が流れ込んだ跡があることが分かりました。この配管には、弁と気体の逆流を防ぐ装置がついていましたが、弁は、電源がなくなると自動的に開く構造になっていたほか、逆流を防ぐ装置も気密性が低く、ベントで放出された水素が配管を逆流して、建屋に入り込み水素爆発を起こした可能性があるとみています。3号機の水素爆発は、これまで原子炉内の水素が格納容器のふたなどの隙間から漏れ出て爆発したとみられていましたが、別の配管を逆流したことも原因の一つだった可能性が出てきたため、国の原子力安全・保安院は、ほかの原発についても気体の逆流を防ぐ機能の強化を検討することにしています。専門家は、「ベントを行うことが水素爆発につながりかねないので、ベントの配管を別の配管から切り離す必要がある」と指摘しています。
−−−NHK(23.12.29)




東電 過去にも非常用発電機が水没


東京電力福島第一原子力発電所で、20年前、非常用発電機が、配管から漏れた水につかり、機能しなくなるトラブルが起きていたことが、東京電力の元社員らの話で分かりました。発電機の浸水対策を進め、今回の事故のような深刻な事態を防ぐきっかけにもなり得たトラブルでしたが、結果として、対策にはつながりませんでした。

過去にも非常用発電機水没
福島原発・ヂイーゼル非常用発電機


福島原発・機器類配置断面図


福島第一と第2比較 第2は免れ、第一で災害になった原因は明らか

福島第一原発の事故では、地下1階の非常用ディーゼル発電機が、津波によって流れ込んだ水につかって機能しなくなり、原子炉を冷やせなくなったことが、事態を深刻化させる原因の1つとなりました。このような浸水から、発電機を守るきっかけにもなり得たトラブルが、20年前の平成3年10月に起きていたことが、東京電力の元社員らの話で分かりました。元社員らによりますと、トラブルが起きたのは、福島第一原子力発電所1号機のタービン建屋で、配管から漏れ出した水が地下1階に流れ込み、非常用発電機が機能しなくなりました。当時、福島第一原発の技術者だった元社員は、タービン建屋が海に近かったことから、「もし津波が来たら、同じように地下の発電機が水につかって使えなくなると思い、上司に相談した」などと話しています。一方、東京電力は、当時、発電機のある部屋のドアに、防水対策を施したということですが、発電機を地下から高い場所に移し替えるなど、津波を想定した対策は採りませんでした。これについて東京電力は、「このトラブルの原因は、配管からの水漏れでその対策は講じている。また『津波の危険性を上司に相談した』という元社員の主張について、当時の上司は、相談を受けたという認識を持っていない」としています。
−−−NHK(23.12.29)




初動・誤り

事故調査会−−東電の初動「誤り」、冷却の空白招く…事故調


福島第一原子力発電所事故に関する政府の事故調査・検証委員会(委員長=畑村洋太郎・東大名誉教授)は26日、事故対応の問題点やその背景を分析した中間報告を発表した。
事故原因調査会 東電子会社まかせ


事故調査委員会 中間報告書提出
中間報告書 別冊PDF版


 東電の初動を巡っては1、3号機の緊急冷却装置の操作について「誤った措置」などと批判し、東電が官邸の意向を踏まえて3号機の注水手順を変え、冷却の空白が生じていたことも明らかにした。背景としては、津波対策を含め幅広く原発の安全を考える視点が欠けていたと指摘した。

 報告書によると、1号機では3月11日、緊急冷却装置「非常用復水器」が津波による電源喪失で停止したが、吉田昌郎(まさお)所長(56)(当時)や本店幹部らは正常に冷却していると誤認したまま、8時間以上気付かなかった。これが、対応の遅れにつながり、格納容器の圧力を抜く「ベント」や原子炉への注水が始まったのは翌日だった。

 3号機では13日未明、緊急冷却装置「高圧注水系」を手動停止したが、別の注水手段への切り替えに失敗、冷却できなくなった。中間報告では手動停止を「誤った措置」と断定し、7時間近い注水中断を「極めて遺憾」と批判した。

 官邸では当時、3号機の代替注水について「海水を入れると廃炉につながる」との意見が出ていた。現場では海水注入の準備が整っていたが、官邸に派遣されていた東電社員から「淡水の方がいいとの意見がある」と聞いた吉田所長は、淡水ラインに切り替える作業を指示。だが、淡水は13日午前9時25分の注水開始から約3時間で枯渇し、海水ラインに戻す際に52分間、冷却が中断した。

 報告書は1、3号機とも、注水が早期にできていれば、放射性物質の放出量を減らせた可能性があるとした。

 一方、被害の拡大を食い止められなかった背景については、国や電力会社の過酷事故対策が、機械の故障や人的ミスを想定するばかりで、津波など自然災害に目を向けてこなかったと総括した。原発事故が他の災害と同時に起きる「複合災害」の視点も欠けていたと指摘した。

 政府の対応については、官邸内で情報が分散し連携が不足したことや、経済産業省原子力安全・保安院の危機管理能力の欠如を問題視した。来年4月発足する原子力安全庁(仮称)について「責任を持って危機対処の任にあたる自覚を強く持ち、体制整備を図る必要がある」と提言した。

−−−読売新聞(23.12.27)



逃げ回り・保安検査官

事故調---保安検査官逃げ回り・東電は子会社任せ


原発の監視を担う原子力安全・保安院の原子力保安検査官や、事故対応の責任を担う東電が、役割を十分に果たせなかった実態も、中間報告で明らかにされた。

事故処理は子会社まかせ、 保安員院は逃げまわる
子会社まかせ

 報告書によると、東電の事故対応を指導監督する立場の検査官は3月12日早朝、4人全員が現場を立ち去り、約5キロ離れた対策拠点のオフサイトセンターに戻っていた。放射線量の上昇により、屋外の防災車の搭載電話が使えなくなったのが理由とするが、中間報告は「東電の回線など他の手段で状況報告は可能だった」とみている。

 13日朝には、海江田経済産業相から炉心への注水状況を監視するよう指示を受け、検査官4人が原発に入った。だが、対策本部のある免震重要棟の一室に閉じこもり、東電社員から資料を受け取るだけだった。14日午前11時過ぎには、3号機が水素爆発を起こしたため、身の危険を感じ、同日午後5時頃、上司の明確な了解がないまま同センターに引き揚げた。

 菅首相が東電本店に乗り込み、東電社員に「逃げてみたって逃げ切れないぞ」とまくしたてたのは翌15日早朝。その前に検査官らは退避を終えていた。事故調関係者は「検査官は職責を果たさず逃げ回っていたも同然だ」と批判する。

 一方、原子炉の冷却で重要な役割を果たしたのが東電の子会社だったことも分かった。

 吉田昌郎所長(56)は3月11日夕、全電源喪失の事態を受け、1、2号機への消防車による炉内注水を検討するよう指示した。だが、消防車の活用はマニュアルになく、同原発の「発電班」「技術班」などはどこも自分の担当と考えなかった。

 同日深夜、1号機の危機的状況が分かり、12日未明、消防車による注水を準備した。しかし、消防車を操作できる東電社員はおらず、下請けの子会社に頼らざるを得なかった。東電社員の「自衛消防隊」もあったが、ホースの敷設なども当初は子会社社員だけで行った。
−−−読売新聞(23.12.27)



福島第1原発:東電ミス連鎖で深刻化 事故調中間報告書


東京電力福島第1原発事故の原因などを調べてきた政府の「事故調査・検証委員会」(委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授)は26日、中間報告書をまとめた。炉心溶融を防ぐための冷却装置への東電の対応に問題があったと認定し、「極めて遺憾」と指摘。政府の対策本部が機能不全に陥っていたことにも言及した。深刻な被害にいたった背景として、自然災害と原発事故の複合災害という視点がなく、政府や東電の備えの欠如があったと分析した。

東電ミスの連鎖で事故拡大
東電ミスの連鎖で事故拡大

 報告書は一連の事故で、(1)東電の対応(2)政府の対応(3)市民の被ばく防止(4)過酷事故(シビアアクシデント)対策−−の4点で問題があったとしている。

 東電の対応では、1号機の冷却装置「非常用復水器」(IC)の稼働状況で誤解があった上、3号機の冷却装置「高圧注水系」(HPCI)の操作で不手際があったと分析している。具体的には、ICは津波到達後に機能を失ったが、現場ではICの役割を十分把握していなかった上に、吉田昌郎所長(当時)や本店は稼働していると誤解。誤解に気づく機会は何度もあったが見逃された。

 HPCIの操作では、運転員が吉田所長らの判断を仰がず、別の注水操作をしようとして稼働を停止した。その後、バッテリーがなくHPCIの再起動はできなかった。

 検証委は1、3号機で「より早い段階で現状を認識し、別の方法で注水に着手していれば炉心損傷の進行を緩和し、放射性物質の放出量は減った可能性がある」と分析。ただし、最善の対応が実施できても1、3号機の水素爆発が防げたかは判断が難しいと評価した。

 政府対策本部の問題では、原子力災害対策特別措置法に基づき、首相官邸の地下に官邸対策室が設置されたが、携帯電話が通じない上に菅直人首相(当時)らは官邸5階にいて、情報共有ができず円滑に対応できなかった点を挙げた。経済産業省原子力安全・保安院は、東電のテレビ会議システムの活用に気づかない上、職員を東電に派遣しないなど情報収集に消極的な姿勢を問題視している。

 このほか、放射性物質の拡散を分析し、被ばく防止に役立てる政府の「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)に言及。地震に伴うシステム損傷で本来の機能が発揮できなかったほか、暫定分析の公表も遅れたために、被災者の避難に混乱を招いたとしている。

 シビアアクシデント対策では、巨大津波の来襲を予想できたにもかかわらず実施していなかったことから、東電など電力事業者による自主的な運用には限界があるとした。

 一方、地震による重要機器の損傷は確認できないが、現場の調査が実施できていないとして最終判断は先送りした。

 検証委は6月から調査を開始。原因解明に主眼を置き、責任は追及しない方針を打ち出し、今月半ばまでに関係者456人から延べ約900時間聴取した。時間的な制約で閣僚の聴取は終わっておらず菅前首相ら官邸中枢の具体的な関与などは来年夏の最終報告書に盛り込む。

 中間報告書は本編507ページと資料編212ページで構成。検証委のウェブ(http://icanps.go.jp/)で公表し、来年1月末まで意見を募集する。
−−−毎日新聞(23.12.27)

 政府の事故調査・検証委員会が公表した中間報告書から浮かぶのは、「安全文化」が欠如した国や東京電力の姿だ。これまで、地震や津波など自然災害と原発事故が起こる複合災害の「原発震災」があれば甚大な被害をもたらすことは指摘されてきた。その警告を軽視してきた原子力関係者の過小評価体質に猛省が求められる。
安全性の軽視

 安全文化とは、反省しながら、最新知見を取り入れ安全を常に求める姿勢をいう。だが東電の場合、08年に福島第1原発に15メートル超の津波が押し寄せる可能性を予測したが、コストのかかる防潮堤の設置などの対策を進めなかった。事故発生直後も「想定外の津波が原因」という言葉を口にしている。これに対し、26日、記者会見した畑村洋太郎委員長は「一度想定を決めると、想定外を考えなくなる」と指摘、被害の甚大さを考慮すれば確率が低くても想定外を無視しない大切さを説いている。

 報告書は、経済性と安全性の問題にも触れた。近年、規制緩和の流れの中で、原発の安全確保も法に基づく規制から、電力会社の自主規制へと流れが強まっている。電力会社が自らの責任で取り組む姿勢は重要だが、検証委は「経済性と安全性のせめぎあいの中では、適切な判断にいたらない恐れがある」などと指摘し、自主規制の限界に言及した。

 一方で報告書では、安全文化を軽視した背景に言及しているのは全体の1割以下にとどまる。なぜ対策が電力会社の自主性に委ねられたのか。地震国・日本で珍しくない津波の対策をなぜ軽んじたのか。来夏の最終報告に向けて、検証委の分析が注目される。
−−毎日新聞(23.12.27)


 政府の事故調査・検証委員会が26日に公表した中間報告は、原子力災害が発生した際の住民の避難について、政府や電力業界が十分な対策をとっていなかったことを指摘した。福島第1原発事故で避難を強いられた住民や医療関係者からは、改めて政府の対応を非難する声が上がった。

 大気中の放射性物質の拡散を予測する緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)の分析結果公表が遅れた結果、放射線量の高い地域に避難してしまった人は少なくない。福島県南相馬市原町区の内科医、志賀嘉津郎さん(63)も福島第1原発3号機が爆発した3月14日、妻子を車に乗せ飯舘村の小学校に避難した。

情報(SPEED)未公開で被害拡大
情報未公開で被害拡大

 「ガソリンも少なかったし、飯舘村は原発から約50キロ離れているから安全だと思った。SPEEDIの分析結果を速やかに公表してくれれば、飯舘村には逃げなかった」。村の小学校では、小中学生がボランティアで避難者に食事を配るなど屋外で活動していたといい、「あの子たちがどのくらい被ばくしたのか」と案じる。

 屋内退避の指示区域に入った南相馬市立総合病院は、物流が止まったため医薬品や酸素ボンベが不足して混乱に陥った。全入院患者の避難も始めたが、病院の救急車は1台しかなく、自衛隊の協力で全員の搬送を終えたのは指示から5日後の3月20日。系列の特別養護老人ホームの入所者の間では、搬送後に死亡する人も相次いだ。

 金沢幸夫院長(58)は「国は屋内退避を指示しながら、災害弱者がどうなるか全く考えていなかった。患者の移送手段や医薬品などを確保できる体制を整備しなければ、また同じことを繰り返す」と警鐘を鳴らす。

 福島県福祉事業協会が運営する富岡町や川内村の知的障害者入所施設も、移転を余儀なくされた。当初は一般の避難所に移ったが、環境の変化に対応できない入所者が続出。田村市の通所施設に移った後も、手狭で入所者が重なり合って寝る状態だった。

 事情を知った医療関係者の紹介で、4月に千葉県鴨川市の県立施設へ移った。同協会の山田荘一郎理事長は「我々の力だけで受け入れ施設を探すのは困難。国が施設を紹介してくれないと、避難は難しい」と話した。
−−−毎日新聞(23.12.27)






福島3号機:現場独断で冷却停止…3月13日、高圧注水系

3号機 現場独断で冷却停止

東京電力福島第1原発事故で、3号機の原子炉を冷やすための最後の要となる「高圧注水系(HPCI)」が3月13日に現場の独断で止められ、再起動できなくなっていたことが、政府の事故調査・検証委員会の調べで分かった。3号機は翌日、水素爆発した。1号機でも冷却装置「非常用復水器(IC)」が止まったが、吉田昌郎前所長が稼働していると誤認して事故対応していたこともすでに判明している。指揮系統が機能していなかったことが重大事故につながった可能性がある。今月末に公表される中間報告書に、こうした対応が不適切だったと記載される模様だ。

 ◇政府事故調、中間報告へ

 東電が今月2日に公表した社内調査中間報告書などによると、3号機では東日本大震災が発生した3月11日、電源が喪失し、「原子炉隔離時冷却系(RCIC)」と呼ばれる別の冷却系が作動、原子炉に注水した。だが、12日午前11時36分には原因不明で停止。原子炉の水位が低下し同日午後0時35分にHPCIが自動起動したが、13日午前2時42分に停止した、としている。

 複数の関係者によると、事故調が経過を調べた結果、運転員がバッテリー切れを恐れ、吉田前所長の判断を仰がずHPCIを止めたことが分かった。その後、HPCI、RCICともに起動を試みたが再開しなかった。報告書は「HPCIを止めない方がよかった」と指摘する見通し。

 一方、報告書は津波対策にも言及するとみられる。東電は08年、想定していた高さ5・7メートルを上回る10メートル超の津波の可能性を試算したが、社内で「防潮堤のかさ上げは費用が高くなる」との意見が出された。当時原子力設備管理部長だった吉田前所長らが「学術的性格の強い試算で、そのような津波はこない」と主張したこともあり、具体的な対応は見送られたという。

 さらに、報告書は法律に基づいて設置された現地本部が十分機能しなかったことや、政府が「炉心溶融(メルトダウン)」を軽微に感じさせる「炉心損傷」と修正した点にも触れる見込み。閣僚の具体的な関与では今月から聴取を始めており、来夏に作成する最終報告書に盛り込む。

 ◇高圧注水系◇

 非常時に原子炉内に注水するために備えられた緊急炉心冷却装置(ECCS)の一つで、原子炉内の水位が異常に下がった場合に働く。原子炉の余熱で発生する蒸気を利用してタービン駆動のポンプを動かし、復水貯蔵タンクなどの水を勢いよく炉内上部から炉心(核燃料)に注ぎ込む。停電時でもバッテリーで使用できるのが利点。

 ◇解説…有事の指揮系統、機能せず

 これまで東京電力は「原発事故防止のためにさまざまな取り組みをしてきた」「想定を上回る津波だった」などと主張してきた。しかし、政府の事故調査・検証委員会による関係者聴取から浮かぶのは、「不十分な備え」であり、「人災」という側面すらみえる。

 同委員会の調査で、福島第1原発3号機で「高圧注水系(HPCI)」を運転員が独断で止めたことが判明した。今夏までの調査でも1号機の非常用復水器(IC)の停止を吉田昌郎前所長が把握できていなかったことが判明している。重大事故時の備えがなく、運転員にこのような行動をさせた点こそ問題だ。

 また、東電の過酷事故時の手順書には、全電源喪失が長時間続くことを想定せず、格納容器を守るためのベント(排気)の手順なども盛り込まれていなかった。備えが不十分で現場の指揮系統が混乱し、最善策を取れなかったとうかがわせる。

 過酷事故対策は79年の米スリーマイル島原発事故を契機に、世界的に整備が進んだ。日本でも検討され、原子力安全委員会は92年、事業者に過酷事故対策を求めた。だが、事業者の自主性に委ね、それ以来、対策内容を見直してこなかった。あらゆる警告を謙虚に受け止めることが関係者に求められる。
−−−毎日新聞(23.12.16)





福島第1原発事故 国会調査委が発足

東京電力福島第1原発事故の原因を調べるために国会に設置された「事故調査委員会」が8日、正式に発足した。民間有識者による調査機関が国会に置かれるのは現行憲法下で初めて。衆参両院の議院運営委員会合同協議会の下に置かれ、同協議会に国政調査権に基づく証人喚問や資料提出を要請することができる。今後、政府や東電の関係者を呼んで調査を進め、半年をめどに報告書をまとめる。

事故調査委員会発足

 委員は10人。任命式では衆参両院議長が、委員長を務める黒川清・元日本学術会議会長らに辞令を交付した。その後の協議会で黒川氏は「なぜ原発安全神話が出てきたか、どこに問題があったか調べたい」と語った。田中耕一・島津製作所フェローは「希望が持てる提言をしたい」と語った。
−−毎日新聞(23.12.9)





福島第1原発:1号機 復水器再稼働なら炉心溶融に至らず

東京電力福島第1原発事故で、1号機の原子炉を冷却する非常用復水器(IC)が津波襲来から1時間以内に再稼働した場合、炉心溶融に至らなかったことが8日、原子力安全基盤機構(JNES)の解析で分かった。ICは電源が失われても動く唯一の冷却装置だが、ICにつながる配管の弁が閉じ、機能を果たせなかった。迅速に弁を開ける方法を準備していれば、炉心溶融は避けられた可能性がある。

腹水機再稼動なら炉心溶解起こらず

 解析は経済産業省原子力安全・保安院がJNESに依頼し、9日に発表する。

 1号機は3月11日の津波で全電源を喪失、原子炉に水を注入する緊急炉心冷却装置が使用不能になった。2系統あるICは放射性物質を閉じこめるため、電源喪失に伴い弁がすべて閉まるよう設計されており、地震発生後は断続的に動いたが津波後に閉じた。2時間40分後の午後6時18分、蓄電池が復旧して弁が開き、7分だけ稼働したものの、運転員がICの冷却水不足を懸念し手動で停止。再稼働はさらに3時間後だった。

 解析によると、IC停止から約1時間後に冷却水につかっていた炉心が露出。露出後は温度が上昇し、水素が発生し始めてICの効率が低下するため、炉心溶融を回避するのが難しくなったことが判明した。保安院は午後6時18分には既に炉心溶融が始まっていたとみている。ICを再稼働させるには、運転員が現場に行き、弁を手動で開く必要があった。東電は毎日新聞の取材に対し「真っ暗で線量の高い現場に行ってすぐにICを復旧させるのは無理だった」としている。
−−−毎日新聞




「揺れは想定内、津波は想定外」東電が中間報告書

東京電力は2日、福島第一原発の事故調査に関する中間報告書を公表した。法令や国の指導に基づいて安全対策を施し、過酷事故に備えたが、想定を超える津波に襲われて事故が起きたと結論づけた。自己弁護ともとれる内容で、報告書を検証した外部の専門家らの指摘ともかみ合わず、不明な点も多く残った。

 報告書は、東電が作った事故調査委員会が、計測されたデータや運転員ら250人以上の聞き取りをもとに作成した。だが、1号機の原子炉建屋で爆発前に放射線量が異常に上昇したにもかかわらず、水素爆発を考えずに対策をとらなかった経緯などは記述がなく、不明のままだ。

 地震直後に1号機で起動した原子炉を冷やす非常用復水器については、運転員の判断で手動で止めた。しかし、運転し続けたとしても、すでに炉心損傷は起きており、事故の拡大は防げなかったとの見解を示した。

 機器の故障を想定して複数の非常用冷却設備を設置するなどの事前の対策が、国の安全審査に適合していたことを強調。過酷事故への対応策も「国と一体になって整備を進めた」と記した。

 今回の地震は2002年に示された国の地震調査研究推進本部の見解や、869年の貞観地震より震源が広範囲な巨大地震だったが、揺れは想定と同程度で、確認した範囲では揺れによる安全上重要な機器の損傷はないとした。一方、津波は想定を大きく超え、最新の知見に沿って自主的な検討や調査もしたが、結果的に津波に対する備えが足りず、被害を防げなかったと説明した。

 このため、非常用発電機は6号機の1台を除きすべて使えなくなった。安全の想定を超えた事象が起き、原子炉を冷やすための機能が失われ、1〜3号機で炉心損傷が起きた。さらに原子炉建屋で水素爆発が起きた。

 津波到達後は、消火用の配管を使って原子炉を冷やす作業を実施。事故対応のマニュアルにはなかったが、消防車のポンプを使うなど臨機応変の動作を試みたなどとした。

 東電は今回、矢川元基東京大名誉教授ら外部の専門家による検証委員会を設置し、調査内容について意見を聞いた。委員会は「事故の直接の原因は未曽有の津波だが、アクシデントマネジメント(過酷事故対策)を含むハード面、ソフト面での事前の安全対策が十分でなかった」とし、「過酷事故が起こり得ないという『安全神話』から抜け出せなかったことが背景にある」と指摘した。
−−−朝日新聞(23.12.3)




「長靴がズルッと溶けた」 東電事故調報告 弁明に終始、残る多くの謎


震災直後の原発の状況

福島第1原発事故をめぐり、東京電力が2日に公表した事故調査報告書。発電所員への聞き取り調査などで、事故直後の緊迫した状況が浮かび上がった。一方、事故検証では「予測できなかった」「(厳しい環境で)難しかった」などの言葉が踊り、弁明に終始。これまで謎とされてきた、多くの事項についても未解明のままで課題を残した。

「長靴が溶けた」

 「海水が流れ込んできている!」。福島第1原発に津波が押し寄せた3月11日午後3時半すぎ、原発をコントロールする中央操作室に運転員が駆け込んできた。室内の電源のランプが点滅を始めると、一斉に消灯。暗闇に包まれた。

 「操作もできず、手も足も出ないのに、われわれがここにいる意味があるのか」。運転員から噴出する不満や不安の声。対応した責任者は頭を下げ、「ここに残ってくれ」と懇願するしかなかった。

 東電による聞き取り調査で判明した、事故直後の状況だ。ほかにも原子炉の圧力を抜くベント作業に向かった作業員は「ボコッ、ボコッと大きく不気味な音を聞いた」と証言。高温場所で「長靴がズルッと溶けた」こともあった。

事実の列挙

 報告書で詳述された事故直後の状況だが、肝心の事故原因などについては事実関係の列挙に終始。具体的な政府とのやりとりや、判断を下した背景についての説明はなかった。

 例えば、多くの専門家が高い関心を寄せる1号機の「非常用復水器(IC)」の操作については、従前の説明を繰り返すのみ。ICは緊急時に原子炉を減圧・冷却する重要な装置だが、津波直後に運転員が約3時間停止させている。

 東電は「ICが空だきになって壊れ、放射能が外に出るのを防ぐため止めた」と説明するが、稼働していれば事故拡大を防げた可能性があり、操作の妥当性は検証課題として残った。

全て明らかに

 ほかの謎も未解明のままだ。ベント作業が遅れた点も、準備指示が出てから14時間近くかかった理由を十分に説明できていない。

 2、3号機では非常用冷却システムが稼働し、燃料溶融まで2、3日の余裕があったが、その間、具体的にどのような対策を講じてきたかも説明不足だ。

九州大の工藤和彦特任教授は「事故当時の人の動きなど、東電にしか分からない情報がたくさんある。当時、運転員はどのような指示で、どう考えて事故対応にあたったのか、全て明らかにするのが東電の責務だ」と話している。

◇東電の事故調査報告書を見る限り、甘い想定を放置したことへの反省はない。

 東電は津波の研究を怠っていたわけではない。報告書にも「津波の知見や学説が出た際は、自主的に検討や調査をしている」とある。実際に、福島第1原発に10メートル超の津波が来るとも試算していた。だが、知見は生かされなかった。東電は「根拠がなく仮定にすぎない」とし、「安全対策は国と一体となって進めてきた」と正当性を主張する。

 これに対し、外部有識者からなる事故調査検証委員会は、一定の理解を示しつつも「地震や津波をより真剣に考えておくべきだった」とし、「事故を発生、拡大させたのは、事前の安全対策が十分でなかったことによる」と結論づけた。

 検証委は「東電を含むわが国の原子力関係者において、過酷事故など起こりえないという『安全神話』を生み、抜け出せなかった」とも言及した。

 今回の調査は、約250人の社員から聴取したという。だが、自浄を求める社内の声は盛り込まれていない。津波の想定を放置した社内の議論も謎のままだ。真摯な自己批判なしに、真相の究明はない。
−−−産経新聞(23.212.3)





非常用冷却装置 稼働と誤認識

冷却装置作動 誤認

東京電力がみずから行った、福島第一原子力発電所の事故調査の中間報告で、事故発生日の夕方、1号機で唯一稼働できる非常用の冷却装置を、運転員の判断で停止したのに、所長らは、深夜まで、冷却装置が動いていると誤って認識していたことが分かりました。安全上重要な情報を共有できなかったことが、事故対応の遅れにつながった可能性があり、詳しい解明が求められます。

福島第一原発の中で最も早く深刻な事態に陥った1号機では、事故が起きた3月11日の午後6時すぎ、電源が失われても蒸気を利用して原子炉を冷却できる「非常用復水器」という装置を、現場の中央制御室にいた運転員がいったん動かしたにもかかわらず、すぐに停止させたことが分かっています。ところが、事故対応の指揮を執っていた、当時の吉田昌郎所長ら幹部がいる免震棟や、東京電力本店では、深夜まで、冷却装置は動いていると誤った認識を持っていたことが、東京電力の事故調査の中間報告で分かりました。誤った認識を持った理由について、中間報告では、原子炉の水位が燃料よりも上にあるというデータが水位計で得られたためとしています。水位計は当時、正しい値を測れなくなっていたとみられ、誤った情報を基に、誤った認識をしていた可能性があります。東京電力の解析では、1号機は、最も早いケースで、地震発生の4時間後の午後7時ごろには、水面から露出した燃料の損傷が始まったと推定され、その後、大量の水素が発生して、翌12日に水素爆発を起こしています。中間報告によりますと、所長らが燃料の損傷の可能性を初めて認識したのは、地震発生から8時間以上たった午後11時ごろ、原子炉建屋の放射線量の上昇を把握してからで、安全上重要な冷却装置の稼働状況を、運転員と幹部との間で共有できなかったことは、事故対応の遅れにつながった可能性があり、詳しい解明が求められます。東京電力の事故調査の中間報告は、2日午後、公表されます。
−−−NHK(23.12.2)







福島1号機の冷却装置、空だき懸念で手動停止 震災当日

東京電力は22日、福島第一原子力発電所で最初に炉心溶融した1号機の冷却装置「非常用復水器」について、破損して放射性物質が放出されることを懸念した運転員が運転を止めていたとの調査結果を明らかにした。炉心を冷やす唯一の手段だった非常用復水器の動作状況は、政府の事故調査・検証委員会の事故原因究明で焦点になっており、今後、止めた判断の妥当性が検証課題になりそうだ。

非常用冷却装置 手動停止

 非常用復水器は1号機だけにあり、原子炉の蒸気を冷やして水に戻し、再び炉心を冷やすのに使う。装置は2系統あり、水を満たしたタンク内に通した配管に蒸気を送る構造で、電源を失っても機能する。

 東電によると3月11日、地震の後、2系統とも自動的に起動したものの、急な変化を防ぐためマニュアルに従いいったん停止。その後、片方の系統で起動、停止を繰り返していたところ、津波に襲われて電源が失われ、動作状況が分からなくなった。

 その後、一時的に電源が復活して停止を確認。午後6時18分に電動弁を開く操作をしたが、タンク内の水があたたまって発生するはずの蒸気が確認できなかったため、午後6時25分に弁を閉めて運転を止めた。タンク内に水がない可能性を考え、運転を続ければ配管が損傷して放射性物質を含む蒸気が放出される恐れがあると判断したという。

 実際には、タンクには容量の65%ほど水が残っていたことが10月の現場調査でわかっている。
−−−朝日新聞(11.23)




安全評価 先進国の専門家が意見

東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて政府が導入した安全評価、「ストレステスト」について、先行して実施している海外の専門家から意見を聞く催しが開かれ、制度の信頼を高めるためには透明性と継続的な説明が重要だという意見が出されました。

この催しは、「ストレステスト」の結果を審査する際の基準作りに生かそうと、国の原子力安全・保安院が開いたもので、「ストレステスト」を導入したフランスやフィンランドなどの専門家7人が出席しました。このなかで「ストレステスト」に対する国民の信頼を得るための取り組みが紹介され、フランスからはほかの国の専門家を招いて審査を実施したり、原発の中に調査に入る際に一般の市民を加えることなどが説明されました。また、審査のプロセスの決定やその中で行った判断については規制機関が絶えず国民に説明をしていくことが重要だという意見も出されました。「ストレステスト」は、定期検査で停止している原発の運転再開の判断の前提で、国内では関西電力と四国電力が一部の原発について結果をすでに提出しています。しかし、国の審査基準については検討が始まったばかりで、国民に信頼される制度にできるかどうかが問われています。
−−−NHK(23.11.18)




原発操作に「問題なし」 東電、2・3号機の手順書提出

 東京電力は29日、福島第一原発2、3号機の事故時の操作状況に問題はなかったとする評価結果を発表した。経済産業省原子力安全・保安院には、28日に同様の内容の報告書を提出した。1号機の操作状況の評価結果は21日に提出している。

 東電は、事故時に使う運転操作手順書自体の公開は、知的財産や安全上の理由で拒んでいる。

 評価にあたり東電は、緊急停止の確認や原子炉への注水などの項目で状況を調べた。2号機では19項目中9項目、3号機では20項目のうち9項目で、手順書通りの操作ができたとしている。ほかは一部で手順書通りに操作できたか、操作自体ができる状況になかったとし、「操作状況に問題はなかった」と評価した。
−−−朝日新聞




原発事故の手順書、不十分だった…保安院長

東京電力福島第一原子力発電所の事故時運転操作手順書について、経済産業省原子力安全・保安院の深野弘行院長は25日、「電気があることが前提となっており、手順書を活用できなかった」と述べ、事故の想定が不十分だったとの認識を示した。

 同日の衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会で共産党の吉井英勝氏の質問に答えた。同原発事故では、津波により全電源が失われた。

 手順書を巡っては、東電が大半を黒塗りにして同特別委に提出したことが批判を受け、保安院が法律に基づいて黒塗りのない手順書の提出を東電に指示し、一部を24日に開示していた。
−−−読売新聞(23.10.26)

東電黒塗りのマニュアル




2号機、水素爆発なかった可能性 東電社内事故調が見解

東京電力福島第一原発2号機で起きた爆発事故について、東電が社内に設置した事故調査委員会(委員長・山崎雅男副社長)が、これまで言われていた水素爆発ではなかったとする見解をまとめていたことが2日、わかった。発電所内の地震計からの推定だが、事故時の衝撃音や格納容器の圧力低下の原因については説明していない。

 2号機は3月15日午前6時ごろ、原子炉格納容器につながる圧力抑制室の圧力がゼロになった。その際、衝撃音がしたという。

 東電は当初、核燃料を覆う金属から水素が発生し、圧力抑制室にたまって爆発したことは否定できないと説明をしていた。6月に政府が国際原子力機関(IAEA)に提出した報告書にも、水素爆発と思われる、と記載された。
2号機は水素爆発でない見解東電発表

 ただ、1、3、4号機は水素爆発で原子炉建屋が吹き飛んだが、2号機は圧力を逃がすパネルが開いて建屋が吹き飛ばなかったことから、爆発の有無を調べるため、東電は発電所内の地震計の記録を分析した。

 その結果、2号機で衝撃音がした午前6時から同6時10分にかけて、爆発によるとみられる揺れは観測されていなかったという。揺れは午前6時12分に観測されていた。東電が解析したところ、4号機で発生したものとみられるという。
−−朝日新聞(23.10.3)

コメント:東電が2号機の爆発は水素爆発でないと半年も経過して、発表するのは何故だろう?水素爆発はいかにも素人的なミスで恥ずかしいのだろうか?それも4度も防がなかったので1つでも減らしたいのだろうがいずれにしても、過去の原発事故の教訓を生かしていない初歩的なミスは消えない。原子炉注水38時間止まったら溶解海外の原子炉事故を見る





2号機、実は水素爆発なかった…東電報告案
福島第一原子力発電所の事故を巡り、東京電力が社内に設置した「福島原子力事故調査委員会」(委員長=山崎雅男副社長)の中間報告案の詳細が明らかになった。
 2号機で水素爆発があったとする従来の見解を覆し、爆発はなかったと結論付けた。事故を招いた津波について「想定できなかった」と釈明し、初期対応の遅れについても、「やむを得なかった」との見解を示すなど、自己弁護の姿勢が目立つ。東電は、社外有識者による検証委員会に報告案を諮った後、公表する方針だ。
 同原発では、1号機の原子炉建屋が3月12日午後に水素爆発を起こしたのに続き、14日午前に3号機が水素爆発した。さらに15日早朝、爆発音が響き、4号機の建屋の損傷が確認された。爆発音の直後に2号機の格納容器下部の圧力抑制室の圧力が急落したため、東電は2、4号機でほぼ同時に爆発が起きたとし、政府も6月、国際原子力機関(IAEA)に同様の報告をしていた。
−−−読売新聞(23.10.2)




東京電力は1日、復旧作業中の福島第一原発1〜3号機で、仮にすべての対策ができずに原子炉への注水が中断したまま38時間過ぎると、核燃料が再び溶け出し、多量の放射性物質が放出されるという最悪のシナリオを明らかにした。
 注水が止まる原因として考えられるのは、炉内に注水しているポンプの故障、ポンプへの電源の喪失、タンクなど水源の喪失、注水ラインの損傷などだ。東電は原因が一つなら30分以内に復旧できるとみており、「複数のトラブルが起きても3時間程度で注水が復旧できる見込みだ」としている。
 1〜3号機の炉内の水温は、いずれも冷温停止の条件になる100度未満まで下がっているが、注水が止まれば、1時間で48〜51度上がるという。仮に注水が復旧しないと、18〜19時間で爆発の引き金になる水素が発生する1200度に到達する。さらに38〜50時間後に燃料の再溶融が始まり、圧力容器の底にたまった燃料がさらに外側の格納容器に漏れ出すという。
 ただ、ポンプには予備もあり、注水する経路はいくつもあるので注水が長時間中断することは考えにくいという。東電は「今後、注水システムの信頼性の向上に努めたい」と話している。
−−−朝日新聞(23.10.2)


[動画]原子炉注水システムの現況と運用(東電資料9.11)


コメント:画像で見る除染装置への配管や長いホース上の管は、あくまでも臨時で、1年以上に渡って、使用できるものとは思えない。
これらの配管の故障やポンプ、電源の故障は容易に起こりうるものと考えるべきだが、長時間中断することは考えにくいという東電の考え方は、当初事故を起こした時と少しも変わっていない。再度起こした場合責任問題だけではすまされない。





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